つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の利回りはどれくらい?計算方法や注意点を解説

更新日:2024/06/01
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の利回りはどれくらい?計算方法や注意点を解説

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は、長期・積立・分散に適した投資が可能な税制優遇制度です。

金融庁が認めた投資信託やETFに投資し、長期運用することで資産を増やします。資産がどのくらい増えるかに影響するのが、金融商品の「利回り」です。

この記事では、つみたて投資枠(旧つみたてNISA)を利用する際に大切な要素である利回りの計算方法や、利回りごとの資産運用シミュレーションを解説します。

この記事で分かること
  • つみたて投資枠(旧つみたてNISA)における利回りとは
  • つみたて投資枠(旧つみたてNISA)で期待できる平均利回り
  • つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の利回りで注意するべきポイント

目次

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つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の利回りとは

利回りとは、投資した金額に対する収益の割合を指します。そして、平均利回りとは、ある期間内における利回りが平均でどのくらいあるかを示す指標です。一般的には、1年あたりの平均利回りを「%(パーセンテージ)」で表します。

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の利回りは、トータルリターンを使って算出します。トータルリターンとは、分配金(配当金)と売却益、運用コストを合わせた利益です。利回りの意味を理解していれば、金融商品選びの際に「投資金額に対して利益がどのくらい出たか」を定量的に判断できます。

利回りの計算方法

利回りは投資元本に対して、1年あたりにどのくらいの収益があったかを示す数値です。投資信託の利回りは次のように算出します。

利回りの計算式

たとえば、投資信託を50万円で購入し、10年後に70万円で売却できた場合の利回りは次のとおりです。

20万円(分配金+売却益)÷10年(運用年数)÷50万円×100 = 4%(利回り)

投資金額50万円に対して利回りが4%なので、平均して年間2万円の利益が出ていることを表しています。

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の平均利回りはどれくらい?

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は、さまざまな投資信託から選んで投資が可能です。期待できる利回りは商品ごとに異なります。

市場の相場は常に変動しているため、投資で得られる利益も一定ではありません。金融庁が公表している「国内外の株式・債券に分散投資した場合の収益率の分布」によると、保有期間5年の場合の利回りは年-8%~14%と幅があったのに対し、保有期間20年の場合の利回りは年2~8%に落ち着いたとされます。

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の平均利回りはどれくらい?

つまり、つみたて投資枠(旧つみたてNISA)を利用して20年以上の分散投資を行った場合は、年2~8%程度の利回りが期待できると考えられます。ただし、あくまでも過去の実績からの推定であるため、必ずしも同じ利回りが実現するとは限らないことを理解しておきましょう。

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の銘柄別・平均利回り

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)で投資できる商品の銘柄別の平均利回りを見てみましょう。

マネプラスで購入できるつみたて投資枠(旧つみたてNISA)の対象商品の利回り(1年リターン)と、運用管理費用の例は次のとおりです。ただし、あくまで過去の実績であり、将来の収益を約束するものではありません。

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の銘柄別・平均利回り

このほかの商品は、次のリンクの「NISAつみたて投資枠対象ファンド」から運用成果を確認できます。

投資信託|マネプラス (kyotobank.co.jp)

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の利回り別シミュレーション

金融庁のWebサイトでは、利回りと積立期間を入力すれば、「〇年後の資産はどのくらいになるか」をシミュレーションできます。シミュレーション結果から具体的な数値を知ることで、資産形成のモチベーション向上にもつながります。商品選びの参考にもなるため、つみたて投資枠(旧つみたてNISA)で運用を開始する前に、まずはシミュレーションを行うのがおすすめです。

ここでは、毎月3万円を20年間積立投資した場合の、利回りによる最終積立金額のシミュレーション結果を紹介します。

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の利回り別シミュレーション

利回り年3%の場合

毎月3万円を年利3%で20年間積立投資した場合のシミュレーションは次のとおりです。

投資元本:720万円
運用収益:264.9万円
最終積立金額:984.9万円
利回り年3%の場合

※あくまでもシミュレーションの結果であり、実際の運用成果は異なります。

利回り年5%の場合

毎月3万円を年利5%で20年間積立投資した場合のシミュレーションは次のとおりです。

投資元本:720万円
運用収益:513.1万円
最終積立金額:1233.1万円
利回り年5%の場合

※あくまでもシミュレーションの結果であり、実際の運用成果は異なります。

利回り年7%の場合

毎月3万円を年利7%で20年間積立投資した場合のシミュレーションは次のとおりです。

投資元本:720万円
運用収益:842.8万円
最終積立金額:1562.8万円
利回り年7%の場合

※あくまでもシミュレーションの結果であり、実際の運用成果は異なります。

利回り年10%の場合

毎月3万円を年利10%で20年間積立投資した場合のシミュレーションは次のとおりです。

投資元本:720万円
運用収益:1558.1万円
最終積立金額:2278.1万円
利回り年10%の場合

※あくまでもシミュレーションの結果であり、実際の運用成果は異なります。

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の利回りに関する注意点

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)で投資するならば、利回りが高いほど大きなリターンが期待できるように感じられますが、そういうわけでもありません。

ここで、利回りについて知っておきたい注意点を解説します。

利回りは過去の実績であり未来を保証するものではない

投資する商品を選ぶ際に参考とする利回りは、あくまで過去の実績から算出される数値です。今後も同じリターンが続く保証はないと理解しておくことが大切です。

また、相場の変動は短期で見るほどに大きくなります。利回りを確認する際は、直近1年のみではなく、3年・5年・10年といった長期間の数値も参考にしましょう。

過去の利回りが高いとその分リスクも高い可能性がある

投資信託の利回りは、過去のリターンを基に算出されます。投資におけるリターンとは「投資を行うことで得られる収益」であり、マイナスの収益もリターンのうちの1つです。

なお、投資におけるリスクとは「危険性」ではなく、リターンの振れ幅を意味します。つまり、高いリターンが期待できる商品は、その分リスクが高くなる可能性があります。

投資において、ローリスク・ハイリターンといった投資方法はありません。リスクを抑えて資産運用をしたい人は、リターンの高い商品は避けたほうが無難です。

監修者コメント

金子賢司(かねこけんじ)

リスクとは一般的に「危険」という意味で使われますが、投資におけるリスクとは不確実性、つまりプラスとマイナスの振れ幅の大きさを指します。

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の運用で平均利回りを高めるポイント

市場の相場をコントロールすることはできませんが、意識しておくと自身の運用利回りを高められる可能性があります。つみたて投資枠(旧つみたてNISA)を利用した運用で、平均利回りを高めるために必要なポイントを解説します。

投資初心者ならインデックスファンドがおすすめ

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)で投資できる投資信託はおもに「インデックス型」と「アクティブ型」の2種類に分けられます。

インデックス型の投資信託は、日経平均株価やS&P500などの株式市場全体の動きを反映する指標をベンチマークとして、指標と同じ値動きをめざして運用されます。一方、アクティブ型の投資信託は、ベンチマークを上回る成果をめざした積極的な運用が特徴です。

インデックスファンドとアクティブファンド

投資初心者は、インデックス型の投資信託を選ぶのがおすすめです。インデックス型ファンドの場合、市場全体に投資するような構成のため、広く分散投資の効果が働きます。短期間で大きな利益を期待することは難しいですが、長期にわたって運用すれば、世界経済の成長に乗ってリターンを期待できます。

運用管理費用(信託報酬)も考慮する

投資する商品を選ぶ際は、利回りだけでなく運用管理費用(信託報酬)も考慮することが大切です。

運用管理費用(信託報酬)とは、投資信託を管理・運用してもらうための経費として運用会社に支払う費用です。金額は「評価額に対して〇%」と決められており、保有資産額に応じて毎日差し引かれます。

たとえば年間利回りが5%期待できる商品であっても、運用管理費用(信託報酬)が1%なら実質利回りは4%です。つみたて投資枠(旧つみたてNISA)のような長期運用では、信託報酬が0・数%違うだけで、将来受け取る利益に数十万円も差が出るケースもあります。

途中で売却せずに長期間投資する

先述した金融庁の統計からもわかるように、運用期間5年と20年では期待できるリターンの幅に差があります。つみたて投資枠(旧つみたてNISA)では、長期運用をすることで元本割れのリスクが抑えられると考えられます。したがって、利回りを安定させるためには運用の途中で必要以上に売却しないほうが無難です。

短期的な値動きに一喜一憂して売却していると、資産は思うように増えません。値動きを気にし過ぎず、長期的な目標をもってコツコツ運用を続けることが大切です。

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つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は元本割れする?リスクを軽減する方法や対処法

分散投資でリスクを軽減する

長期投資と同じく、利回りを安定させるには分散投資が効果的です。1つの国だけへの投資、株式のみ・不動産のみといった偏った資産に集中投資した場合、値動きの変動も大きくなります。値動きの異なる複数の国や地域、資産への分散投資で、リスクとリターンの平準化が期待できます。

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の利回りを理解して計画的に運用しよう

目標金額と運用期間が決まっている場合、目標金額を達成できるかどうかは運用利回りによって決まります。したがって、つみたて投資枠(旧つみたてNISA)を利用して投資をする際に、目標利回りを把握しておくことは大切です。

投資信託の目論見書などを確認すれば、直近の利回りがわかります。ただし、確認できる利回りはあくまで過去の実績であり、今後も同じ利回りが続く保証はないことを理解しておきましょう。

また、期待できる利回りが高い商品は、リターンと同じようにリスクが高い点にも注意が必要です。自分がどれくらいのリスクを負えるかを理解したうえで投資するようにしましょう。

マネプラスならNISAの口座開設がアプリで完結できる

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)を始めるためには、投信口座とNISA口座を開設する必要があります。

NISA口座は証券会社だけではなく、銀行でも開設可能です。マネプラスの場合は「京銀アプリ」を利用すれば、来店不要で口座開設から取引まで完結できます。スマートフォンでの操作に慣れていない場合は、店頭での口座開設もできるので、ご自身にあった方法を選択できます。

選べる2つの開設方法

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の利回りに関するよくある質問

Q.つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の平均利回りはどれくらいですか?

A.

金融庁の公表している「国内外の株式・債券に分散投資した場合の収益率の分布」によると、保有期間20年の利回りは年2~8%とされています。長期運用をすることで、元本割れのリスクを抑えて安定した利回りが期待できます。

Q.つみたて投資枠(旧つみたてNISA)では利回りのいい銘柄を選ぶべきですか?

A.

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)を利用した長期運用では、利回りの差が運用成果の差に大きく影響します。したがって、より大きなリターンを得たいのであれば、高い利回りが期待できる銘柄を選ぶ必要があります。

ただし、表面利回りだけでなく運用管理費用(信託報酬)なども含めた実質利回りを確認したうえで総合的に判断することが大切です。

Q.つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の利回りはどのように確認できますか?

A.

投資の利回りは次の計算式で求められます。

利回り(%)= 収益(分配金+売却益+運用コスト)÷運用年数÷投資金額×100

Q.つみたて投資枠(旧つみたてNISA)はやめたほうがいいと言われるのはなぜですか?

A.

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は、長期間かけてコツコツと堅実に資産を増やしてく投資方法のため、以下のような人はやめたほうがいい場合もあります。

  • 短期間で大きな利益を期待する人
  • ある程度まとまった資金を投資したい人
  • 投資のリスクを許容できない人

Q.つみたて投資枠(旧つみたてNISA)で毎月3万円を利回り年7%で運用すると、20年後はいくらになりますか?

A.

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)で利回り年7%の商品を月3万円ずつ積み立てた場合、20年目には元本720万円に運用収益842.8万円が加わり、1562.8万円になります。

監修者コメント

金子賢司(かねこけんじ)

投資信託の利回りを見ると、好利回りで魅力的に見えることもあるでしょう。しかしそれはあくまでもこれまでの結果に過ぎません。投資信託を選ぶときは、どのような企業や国に投資をしているか十分確認しましょう。