NISAのつみたて投資枠を始めるタイミングとは?早く始めるメリットも解説

更新日:2024/07/25
NISAのつみたて投資枠を始めるタイミングとは?早く始めるメリットも解説

つみたて投資枠は、思い立ったタイミングで始めるのがおすすめです。2024年1月から新しいNISAが始まりましたが、今から始めても遅くはありません。

本記事では、つみたて投資を早く始めるメリットや、つみたて投資を始める際に知っておきたいことなどを詳しく解説しています。

つみたて投資枠は、長く投資・運用を続けることによって、資産増加が期待できる非課税制度です。長く投資・運用するためにも、なるべく早く始めましょう。

この記事で分かること
  • つみたて投資枠は、思い立ったタイミングで始めるとよい
  • なるべく早く始めることで、長く投資・運用でき、効率的に資産を増やせる可能性がある
  • つみたて投資枠の毎月の積立金額は、あとからでも変更できるため、まずは少額からでも始めるとよい

目次

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つみたて投資枠を始めるタイミング

つみたて投資枠とは、投資で得た利益に税金がかからないNISA制度のひとつです。長期・積立・分散といったポイントを押さえた投資手法が実践できるため、リスクを抑えながら資産を形成できます。

すでに新しいNISAは始まっていますが、つみたて投資枠を始めるタイミングは今からでも遅くはありません。

新しいNISAでは口座開設期間が恒久化され、非課税保有期間が無期限化されました。日本に住む18歳以上の方であれば、いつ始めてもよく、非課税保有限度額内であればいつまでも運用できます。

思い立ったタイミングで始めるのがおすすめ

つみたて投資枠は、思い立ったタイミングで、なるべく早く始めるのがおすすめです。

つみたて投資は、時間をかけて運用するほど複利効果が働き、効率よく資産を増やせる可能性があります。毎月100円や1,000円といった少額から始められるため、まずは少額からでもよいので始めてみましょう。

なお、投資は余剰資金で始めるのが基本です。資産を増やしたいからといって、生活に支障が出るほど無理のある金額で始めないように気をつけましょう。

非課税枠を毎月定額で使い切るなら1月から始める

つみたて投資枠は、年間で投資できる金額が決まっています。毎月定額で年間投資枠を使い切りたい場合は、1月から始めるのも手段のひとつです。

つみたて投資枠の年間投資枠は120万円のため、多くの金融機関では、毎月の積立上限額を10万円としています。そのため、年の途中から始めて毎月定額を積み立てるだけでは、始めた年の年間投資枠を使いきれません。

年間投資枠を使いきれなかった場合でも、翌年以降の年間投資枠に持ち越せません。たとえば、今年の年間投資枠は60万円までしか使えなかったとしても、来年に180万円分を積み立てることはできないのです。

年の途中からでも非課税枠を使い切れる

年の途中からつみたて投資枠を始めた場合、毎月の定額積立だけでは年間投資枠を使い切ることはできません。しかし、「ボーナス設定」や「増額設定」を利用すれば、年間投資枠を使い切れる場合があります。

「ボーナス設定」とは、毎月の積立とは別に、追加で積立金額を設定できるというものです。金融機関によっては、「増額設定」などと名称が異なる場合もあります。

たとえば、6月と12月にボーナスが受け取れる場合はその月にボーナス設定をする、といったように、毎月の積立と合わせて利用すれば、年の途中で始めても年間投資枠の上限まで投資できるでしょう。

つみたて投資枠は相場が下落しているタイミングで始めてもいい?

つみたて投資枠で購入できる投資信託は、日々価格変動しています。基準価額が下落しているタイミングで始めるのはよくないと考える方もいるでしょう。

しかし、つみたて投資枠を始めるタイミングは、値動きにとらわれる必要はありません。

投資信託の基準価額は常に変動しており、一時的に下落していたとしても、長期目線でみれば回復する可能性があります。

さらに、つみたて投資枠では、一括購入ではなく、一定金額を定期的に買い続ける積立購入に限られています。一定金額を定期的に購入する方法は「ドル・コスト平均法」ともいい、資産形成に有効な投資手法のひとつです。

値動きにかかわらず毎月一定金額を投資することで、安いときは多く、高いときは少なく購入できるため、平均購入単価を平準化できるのがメリットです。

ドル・コスト平均法

つみたて投資枠は、10年後、20年後といった将来の資産を形成するために適した投資制度です。始めたあとに下落したとしても、投資スタイルを崩さずに積み立て続けることが大切です。

つみたて投資枠を始めるタイミングに円安・円高は関係ある?

つみたて投資枠を始める際は、円安・円高に関係なく始めましょう。

為替レートは常に変動しており、円安・円高のタイミングを予想することは困難です。

始めるタイミングで円安か円高かを気にするよりも、まずは少額でいいので始めてみて、長く積み立て続けることが大切です。

つみたて投資枠を早いタイミングで始めるメリット

つみたて投資枠は、早く始めるほど、長く投資・運用できます。

長期間の投資・運用により、複利効果の恩恵を受けやすい・元本割れのリスクが少なくなるといったメリットがあります。

複利効果の恩恵を受けやすい

複利とは、元利(元本+利益)に利益が発生する仕組みのことです。

おもに投資信託を投資対象にしているつみたて投資枠では、分配金を再投資することによって、複利効果でより大きな利益を期待できます。

たとえば、100万円を年10%の利回りで運用でき、投資して1年後に10万円の利益を得た場合、翌年は元本+利益の110万円に対して利益を得られます。その後も同じ利回りで運用できれば、2年目には110万円に対して10%の11万円、3年目には121万円に対して12万円の利益を得られるのです。

翌年以降は元本と利益の両方に利益が発生するため、効率よく資産を増やせる可能性があります。

複利効果

複利効果は、長く運用するほど得られます。長く運用してより多くの複利効果の恩恵を得るには、なるべく早く始めることが大切です。

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元本割れのリスクが少なくなる

つみたて投資枠にかかわらず、投資には、資産の評価額が投資金額を下回る「元本割れ」のリスクがあります。

ただし、長く投資・運用するほど元本割れリスクを軽減できる可能性があります。

金融庁が公表するデータによれば、分散・積立投資を5年間行った場合の元本割れの確率は10%程度です。一方で、同じ投資手法を20年間行った場合の元本割れの確率はゼロでした。
※参照:金融庁「はじめてみよう!NISA早わかりガイドブック」

長い期間積み立て続けるには、なるべく早く始めることが重要です。

なお、このデータは、あくまでも過去の実績をもとにした算出に過ぎず、運用期間や投資商品、投資金額などさまざまな条件によって異なります。20年間分散・積立投資を続けても、元本割れする可能性もあります。

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つみたて投資枠にデメリットはある?

つみたて投資枠を始める際は、メリットだけではなくデメリットも知っておきましょう

つみたて投資枠のデメリット

  • 元本割れのリスクがある
  • 投資できる金融商品が限定されている
  • 一括投資ができない
  • 所得控除にならない
  • 損失が出たときに税制上のメリットを受けられない

つみたて投資枠は、長期・積立・分散のポイントを押さえることで、初心者の方でもリスクを抑えた資産形成がしやすい仕組みとなっています。そのため、これらのポイントから外れてリスクを取りにいくような金融商品には投資できないようになっています。一括投資ができず積立投資に限られているのも、そのためです。

リスクを伴ってでも短い期間で大きく利益を得たい方にとっては、デメリットといえるかもしれません。

短い期間で大きく利益を出せる可能性のある金融商品に一括で投資したい場合は、NISAの成長投資枠を活用するとよいでしょう。

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つみたて投資枠はいくらから始めるべき?

つみたて投資枠で毎月いくらを積み立てるべきかは、人によって異なります。年収や家族構成、家計状況などが異なるため、ご自身にあった積立金額を検討することが大切です。

つみたて投資枠は年間で最大120万円まで投資できますが、年間投資枠を最大限活用しようと、無理のある金額で設定する必要はありません。新NISAでは非課税保有期間が無期限化され、生涯を通して1,800万円※まで非課税で投資できるため、焦る必要はないでしょう。
※つみたて投資枠と成長投資枠の総額

つみたて投資枠は、毎月100円や1,000円など少額から始められます。ご自身にあった金額を決めることに時間がかかりそうな場合は、まずは1,000円など少額から始めるのもよいでしょう。これまで述べてきたように、資産を増やすには、まずは始めてみて、長く運用することが大切です。

ただし、毎月1,000円の捻出も難しい場合は、家計を見直したり、収入を増やしたりして、余剰資金を作るところから始めましょう。

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つみたて投資枠を始める前に知っておきたいこと

つみたて投資枠を始める前に次のことを知っておくと、スタートを切りやすくなるでしょう。

  • NISA口座は1人につき1口座まで
  • 積立金額はいつでも変更できる
  • 投資商品はいつでも売却・引き出しできる
  • 非課税枠は翌年以降に再利用できる

NISA口座は1人につき1口座まで

NISA口座は、1人につき1つまでしか開設できません。

NISA口座の開設申込時には、税務署によって二重口座でないかの確認が行われています。そのため、すでにNISA口座が開設されているにもかかわらず、2つ目以降の口座開設申込みがあった際は、却下されます。

なお、NISAではつみたて投資枠の他に成長投資枠を使った投資もできますが、それぞれを異なる金融機関で利用することはできません。

所定の手続きをすれば、年単位で金融機関を変更できます。

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積立金額はいつでも変更できる

つみたて投資枠の毎月の積立金額は、金融機関のWEBサイトなどでいつでも変更できます。

収入が増えたときには、積立金額を増やせます。反対に、予想外の出費が重なり、投資資金の捻出が厳しい場合には、積立金額を減らすことも可能です。

ただし、積立金額を頻繁に変更しないようにしましょう。つみたて投資枠で資産を形成するには、一定金額を定期的に長く積み立て続けることが大切です。

あまり減額設定はせずに、まずは少額から始め、慣れてきたタイミングや資金に余裕が出てきたタイミングで積立金額を増やすのがおすすめです。

投資商品はいつでも売却・引き出しできる

つみたて投資枠で購入した商品は、いつでも売却して引き出しできます。

たとえば住宅購入やリフォーム、お子様の学費など大きな金額が必要になったときは、売却して現金化することも可能です。

ただし、利益が出てすぐに売却したり、価格変動に動揺して売却したりすることのないよう気をつけましょう。売却を繰り返すと複利効果が得にくくなり、効率的に資産を増やせなくなる可能性があります。

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非課税枠は翌年以降に再利用できる

新NISAでは、保有資産を売却した分の非課税保有限度額が復活するため、翌年以降に追加投資ができます。

たとえば、投資信託Aを600万円、投資信託Bを1,200万円購入したとします。非課税保有限度額は1,800万円※のため、これ以上NISA口座で投資することはできません。
※つみたて投資枠と成長投資枠の総額

しかし、投資信託Aが700万円(元本600万円+利益100万円)になったタイミングですべて売却した場合、非課税保有限度額が600万円分復活するため、翌年以降に600万円分の追加投資ができます。ただし、年間投資枠(つみたて投資枠は120万円、成長投資枠は240万円)を超える追加投資はできないため注意が必要です。

非課税枠の復活

監修者コメント

金子賢司(かねこけんじ)

新NISAの年間投資枠や非課税保有限度額は、簿価ベースで考えます。簿価とは当初購入した金額のことです。

つみたて投資枠の始め方

つみたて投資枠は、次の手順で始められます。

つみたて投資の始め方

まずはNISAを取り扱っている金融機関で口座開設を行いましょう。

口座開設から積立開始までに時間がかかる場合があるため、口座開設だけでも早めにやっておくのがおすすめです。

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NISA口座を開設する際の必要書類

NISA口座を開設する際は、マイナンバーカードが必要です。マイナンバーカードがない場合は、通知カードに加え、本人確認書類の提出が求められます。

NISA口座開設の必要書類

本人確認書類の例

  • 運転免許証(運転経歴証明書)
  • 健康保険証
  • パスポート
  • 印鑑登録証明書
  • 住民票の写し など

なお、店頭で口座開設を申し込む場合は、上記の書類に加えて印鑑が必要です。

NISA口座を開設する方法

口座開設手続きは、金融機関の店頭窓口でできる場合もありますが、多くの金融機関はオンラインで口座開設できます。

スマートフォンやパソコンでNISA口座を開設する流れは、次のとおりです。

NISA口座をスマートフォンやパソコンで申し込む方法

まずは金融機関のWEBサイトまたはアプリから投資信託口座・NISA口座の開設を申し込みます。必要事項を入力したら、本人確認書類をアップロード、または郵送で提出しましょう。口座開設手続きが完了したら、税務署により審査が実施されます。

窓口での手続きや郵送による書類提出の場合、口座開設の完了までに時間がかかってしまいます。できるだけ早く口座を開設したい場合は、本人確認書類の提出まですべてオンライン上で進めるのがおすすめです。

マネプラスでは口座の開設がアプリで完結

マネプラスでは、NISA口座を開設でき、つみたて投資枠や成長投資枠を利用した非課税投資を始められます。

店舗はもちろん「京銀アプリ」を利用すれば、来店不要で投資信託の口座開設からお取引までアプリで完結するため便利です。

「土・日ご相談プラザ」「土曜ご相談プラザ」では、資産運用や保険・ローンなどお金の相談会を実施しており、NISAに限らずお金に関するさまざまなことを対面で相談できます。NISAを含め投資に不安や疑問がある方は、ぜひお近くのマネプラスへお越しください。

選べる2つの開設方法

つみたて投資枠を始めるタイミングに関するよくある質問

Q.つみたて投資枠は今から始めても遅いですか?

A.

すでに新しいNISA制度は始まっていますが、今から始めても遅くはありません。
できるだけ早く始めて長期間投資することで、資産を増やせる可能性があります。

Q.つみたて投資枠は年の途中でも始められますか?

A.

年の途中であっても始められます。
非課税保有期間が無期限となったため、年の途中から始めても不利になることはありません。

Q.つみたて投資枠は満額投資できるようになってから始めたほうがいいですか?

A.

つみたて投資枠の年間投資枠は120万円ですが、必ずしも満額投資する必要はありません。
非課税保有期間に期限はないので、まずは少額から始めてみましょう。

Q.つみたて投資枠を始めるタイミングは何月がいいですか?

A.

つみたて投資枠は、何月から始めても問題ありません。

年間投資枠の120万円を満額使いたい場合は、1月から始めれば毎月10万円の積立で年間投資枠を使い切れます。年の途中から始めても、増額設定やボーナス設定を活用すれば、年間投資枠を使い切れる場合もあります。NISA口座開設を検討している金融機関でボーナス設定ができるかを、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。

監修者コメント

金子賢司(かねこけんじ)

新NISAは、非課税運用期間が恒久化されています。長く運用益非課税のメリットを受けるために、なるべく早く始めましょう。運用しながら資産を取り崩し、資産寿命を延ばす活用方法もあるため、新NISAは年齢を問わず活用できます。