つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は原則確定申告が不要!必要な例や年末調整も解説

更新日:2024/04/30
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は原則確定申告が不要!必要な例や年末調整も解説

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は、確定申告や年末調整が不要です。しかし、旧制度で非課税保有期間が終了して課税口座に移した場合や、NISAの非課税投資枠を超えて投資している場合は、確定申告が必要な場合もあります。

本記事では、つみたて投資枠(旧つみたてNISA)で確定申告が必要な場合や、NISAの非課税投資枠を超えて投資する場合の課税口座の種類、課税口座ごとの確定申告の必要有無を解説します。

この記事で分かること
  • つみたて投資枠(旧つみたてNISA)では、確定申告も年末調整も不要
  • 課税口座で投資する場合は、運用する口座によって確定申告が必要
  • つみたて投資枠(旧つみたてNISA)も、投資商品とその分配金の受取方法によっては確定申告をしたほうがよい場合もある

目次

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つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は確定申告が不要

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は、確定申告が不要です。

NISAは非課税制度であり、NISAによる運用によって得られた利益には税金がかかりません。

確定申告とは、税金を正しい金額で納めるために、1年間の所得や利益に対してかかる税金を計算して申告する手続きをいいます。

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)で確定申告が必要なとき

NISAの非課税投資枠を超えない範囲で投資していれば、確定申告は不要です。しかし、次の場合は確定申告が必要な場合があります。

つみたて投資修正依頼買うで確定申告が必要なとき

非課税投資枠を超えて課税口座で購入した

つみたて投資枠で投資できる金額を超えて投資すると、確定申告が必要になる場合があります。

つみたて投資枠の年間投資枠120万円、非課税保有限度額1,800万円(※)を超えて投資する場合は、非課税のNISA口座ではなく、課税口座で運用することになります。

※つみたて投資枠と成長投資枠の総額

課税口座にもいくつかの種類がありますが、運用する課税口座によって確定申告の有無が異なります。一般口座と特定口座(源泉徴収なし)を選択した場合は確定申告が必要です。

旧NISAで20年間の非課税期間終了後に課税口座に移した

旧NISAを利用し、非課税期間終了後に課税口座に移した場合、移管後の価額を基準に、得た利益に対して税金がかかります。

2024年から始まった新NISAでは非課税保有期間が無期限化されました。しかし、旧NISAのつみたてNISAでは最長20年(旧一般NISAの場合は最長5年)の非課税期間終了後、課税口座に移管されます。

旧NISAを利用し、非課税期間終了後に課税口座に移した場合、税金がかかる場合があります。たとえば、旧つみたてNISAで40万円を投資し、20年後に70万円になっていたとします。この時点で課税口座へ移した場合は以下のとおりです。

  1. 70万円からさらに80万円に値上がりした
    →利益の10万円(80万円-70万円)に課税される
  2. 70万円から60万円に値下がりした
    →利益がないので税金はかからない

非課税期間終了後、課税口座に移すか、売却するかを選択することができます。

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分配金の受取方法を「株式数比例配分方式」以外に設定した

つみたて投資枠で投資している商品と受取方法によっては、確定申告をしたほうがいい場合があります。

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)でETF(上場株式投資信託)に投資している場合は、分配金の受取方法を「株式数比例配分方式」(※)以外にしていると、配当金などに税金がかかります。NISA口座の運用であるにも関わらず、税金が源泉徴収されることになるのです。

※証券会社での取り扱いのみとなります。

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)でETFに投資している場合や、成長投資枠(旧一般NISA)で株式投資やETF、REITに投資している場合は、受取方法が株式数比例配分方式となっているかを確認しましょう。

NISA口座で購入した株式の配当金や投資信託・ETFの分配金は、次の4つの受取方法から選択可能です。

NISA口座で購入した商品の受け取り方

なお、源泉徴収されてしまっても、確定申告をすることで配当控除を受けたり、損益通算・繰越控除を適用したりすることは可能であるため、必要に応じて確定申告をしましょう。

監修者コメント

金子賢司(かねこけんじ)

分配金受取方法は申込時に指定します。「配当金受取方法の指定」など、表現が分かりにくいケースもあるので、不安な方はコールセンターなどに確認しましょう。

投資で確定申告が必要な口座の種類

投資をするための口座には、非課税口座であるNISA口座と、課税口座である一般口座・特定口座があります。課税口座の種類と確定申告の必要有無は次のとおりです。

課税口座の種類

一般口座で投資していた場合は、損益の計算から年間取引報告書の作成、確定申告、納税までをすべて自分で行います。

特定口座は、金融機関が損益の計算、および年間取引報告書の作成を行います。源泉徴収ありの特定口座ではさらに納税(源泉徴収)まで行いますが、源泉徴収なしの特定口座では、金融機関が作成した年間取引報告書をもとに自分で確定申告・納税を行います。

なお、特定口座(源泉徴収あり)の場合も、次の場合は確定申告をすると税制メリットが受けられる可能性があります。

  • 他の金融機関の課税口座と損益通算する場合
  • 譲渡損失の繰越控除の適用を受ける場合

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は年末調整も不要

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は、年末調整をする必要もありません。

年末調整とは、会社員などの給与所得者が受ける手続きで、源泉徴収された税額の年間の合計額と年税額を一致させる清算の手続きです。

NISAによる運用で得られた利益には税金がかからないため、勤務先にNISAを利用していることを申告する必要がありません。

NISAなどの投資をしていることは勤務先には知られない

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)や成長投資枠(旧一般NISA)で投資をしていることは、勤務先に知られることはありません。

NISAによる運用によって得られた利益には税金がかからないため、確定申告も年末調整も必要なく、住民税などの税額にも影響しません。

周囲に知られずにNSIAを利用したい場合、自分から同僚などに話さなければ勤務先に知られることはありません。

ただし、非課税期間終了後、課税口座で損益が出て確定申告した場合は、年末調整後の税額と異なるため、勤務先に知られる可能性があります。

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の元本は控除の対象ではない

つみたて投資枠は運用益が非課税になるので、元本にも何らかの税制メリットがあると思う人も少なくありません。

しかし、つみたて投資枠で投資信託を購入した金額(元本)は、所得税などの控除の対象ではありません。

所得控除の対象になるのはiDeCo

所得控除の対象となるのは、iDeCoです。

iDeCoは、公的年金(国民年金・厚生年金)とは別に給付を受けられる私的年金制度の一つです。

NISAとiDeCoは、どちらも個人の資産形成を支援するために税制を優遇する制度で、投資対象商品も似ています。しかし、制度自体が異なるため、さまざまな点で違いがあります。

NISAとiDeCoの違いは、次のとおりです。

つみたて投資枠とiDeCoの違い

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)のご相談はマネプラスへ

マネプラスではNISA(つみたて投資枠・成長投資枠)を利用した資産運用が始められます。

店舗でNISA口座開設を申し込めるのはもちろんのこと、「京銀アプリ」を利用すれば、来店不要で口座開設から資産運用までアプリで完結するため便利です。

さらに、「土・日ご相談プラザ」や「土曜日ご相談プラザ」では、休日でも資産運用や保険・ローンなどお金の相談会を実施しています。アプリで口座開設できるだけでなく、対面でお金のプロに相談できます。

NISAを含めてお金の不安がある方は、ぜひマネプラスのお近くの店舗へお越しください。

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つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の確定申告に関するよくある質問

Q.つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は確定申告が必要ですか?

A.

NISAによる運用によって得られた利益には税金がかからないため、確定申告をする必要はありません。損失となった場合も課税口座との損益通算や繰越控除を適用できないため確定申告は不要です。

ただし、次の場合は確定申告が必要な場合があります。

  • 非課税投資枠を超えて課税口座で購入した
  • 旧つみたてNISAで20年間の非課税期間終了後に一般口座・特定口座に移した
  • 分配金の受取方法を「株式数比例配分方式」以外に設定した

Q.つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は年末調整が必要ですか?

A.

NISAによる運用によって得られた利益には税金がかからないため、年末調整は必要ありません。

確定申告や年末調整は不要のため、勤務先にNISAを利用していることを申告する必要もなく、勤務先にNISAを利用していることが知られることもありません。

Q.つみたて投資枠(旧つみたてNISA)で投資した場合は控除の対象や経費になりますか?

A.

つみたて投資枠で投資した場合は、控除の対象にも、経費にもできません。

NISAと似た特徴のあるiDeCoでは、拠出した掛金が全額所得控除となります。課税所得が減るため所得税や住民税を軽減できる可能性があります。

Q.つみたて投資枠(旧つみたてNISA)を売却し利益を得たときも確定申告は不要ですか?

A.

不要です。NISAによる運用によって得られた利益には、税金がかかりません。

Q.特定口座は源泉徴収あり・なしどちらがいいですか?

A.

二つの特徴から自分に合った口座を選択しましょう。

源泉徴収ありの特定口座では、金融機関で年間取引報告書を作成し源泉徴収もされるため、原則として確定申告は不要です。ただし、異なる金融機関の課税口座と損益通算したい場合や、損失があって繰越控除の適用を受けたい場合などは、自分で確定申告をする必要があります。

源泉徴収なしの特定口座では、金融機関で作成する年間取引報告書をもとに自分で確定申告を行います。毎年自分で確定申告をするため、状況に応じて確定申告をするかの判断は不要です。

監修者コメント

金子賢司(かねこけんじ)

NISAによる運用によって得られた利益には税金がかからないため、確定申告が不要です。またつみたて投資枠の対象商品は、金融庁が定めた基準をクリアした商品のため、初めて投資をする場合は、比較的低リスクで運用が可能です。投資初心者は、まずつみたて投資枠の活用を検討してみましょう。