NISA口座と特定口座の違い|つみたて投資枠への移管・併用はできる?

更新日:2024/10/10
NISA口座と特定口座の違い|つみたて投資枠への移管・併用はできる?

NISA口座での運用で得られた利益には税金はかからず、特定口座での運用で得られた利益には税金がかかります。そのため、投資を行う際は、自分が使用している口座の種類、そして納税の有無を把握しておくことが重要です。

そこで、NISA口座と特定口座、一般口座の違いや、併用する際の注意点を解説します。

この記事で分かること
  • NISA口座での運用で得られた利益には税金がかからない
  • 特定口座は、源泉徴収あり・なしのどちらかによって、確定申告有無が異なる
  • 非課税メリットを享受して効率よく運用するなら、まずはつみたて投資枠の活用がおすすめ

目次

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NISA口座と特定口座の大きな違いは課税の有無

NISA口座と特定口座の大きな違いは、運用で得られた利益に税金がかかるかどうかです。

NISA口座の運用で得られた利益には税金はかからず、特定口座の運用で得られた利益には税金がかかります

NISA口座も特定口座も、投資信託などの金融商品を購入し、運用するための口座のひとつです。

投資・運用するための口座の種類は、次のとおりです。

NISA口座と特定口座の大きな違いは課税の有無

NISA口座:運用で得られた利益が非課税になる

NISA口座で運用した場合は、運用で得られた利益(売却益や分配金、配当金)に対して税金がかかりません

たとえば、1万円の利益が出た場合、そのまま1万円を受け取れます。

NISA口座では運用で得られた利益が非課税になる

特定口座:運用で得られた利益に税金がかかる

特定口座で運用する場合、運用で得られた利益に対して20.315%の税金がかかります

たとえば、1万円の利益が出た場合、売却時または分配金・配当金の受け取り時に20.315%課税されるため、実際に受け取れる金額は約8,000円です。

課税口座である一般口座で運用した場合も同様に、20.315%の税金がかかります。

NISA口座を始めるときに特定口座の開設は必要?

つみたて投資枠を活用した投資を始めるには、NISA口座の開設が必要です。

NISA口座を開設する際は、まずは銀行の総合口座(普通預金口座)と投資信託口座、または証券会社の総合口座を開設する必要があります

NISA口座の開設に必要な口座の種類

また、銀行の投資信託口座や証券会社の総合口座には「特定口座」と「一般口座」の2種類があり、口座開設時にどちらかを選択することになります。

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特定口座と一般口座の違い

「特定口座」と「一般口座」は大きな違いは、銀行や証券会社などの金融機関が、税務処理を代行するかどうかです。

特定口座と一般口座の違い

特定口座と一般口座は、どちらも運用で得られた利益に対して税金がかかります。

ただし、特定口座と一般口座のどちらで運用したかによって、確定申告の方法が異なります。さらに、特定口座は「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」に分かれており、「特定口座(源泉徴収あり)」を選んだ場合は、確定申告が原則不要です。

特定口座:金融機関が「年間取引報告書」を作成する

特定口座を開設した場合は、銀行や証券会社などの金融機関が「年間取引報告書」を作成してくれます。

年間取引報告書とは、1年間の取引をまとめたものです。

特定口座であれば、自分で「年間取引報告書」を用意する必要がないため、確定申告の手続きが容易になることがメリットです。

また、特定口座は開設時に「源泉徴収あり」「源泉徴収なし」を選択できます。

特定口座(源泉徴収あり):確定申告不要

「特定口座(源泉徴収あり)」の場合は、投資で利益が出た際に源泉徴収(税金の天引き)が行われるため、確定申告は原則不要です。

ただし、「特定口座(源泉徴収あり)」の場合、利益の金額に関係なく源泉徴収が行われる点に注意が必要です。

本来、給与の年間収入金額が2,000万円以下の方や、給与所得や退職所得以外の所得合計が20万円以下の方などの場合、確定申告の必要はありません。しかし、「特定口座(源泉徴収あり)」で運用した場合は、利益が20万円以下でも自動的に税金が徴収されてしまいます。

特定口座(源泉徴収なし):簡易的な確定申告が必要

「特定口座(源泉徴収なし)」の場合は、金融機関が作成した「年間取引報告書」をもとに、ご自身で確定申告を行い、納税する必要があります

ただし、運用による利益が20万円以下の場合は、原則確定申告が不要です。

一般口座:「年間取引報告書」の作成と確定申告が必要

一般口座の場合は、金融機関から「年間取引報告書」が交付されないため、ご自身で損益を計算して確定申告する必要があります

一般口座と特定口座は、投資で得られた利益に対して税金がかかる点は同じですが、「年間取引報告書」の交付の有無が異なります。

特定口座(源泉徴収あり)でも確定申告したほうがよいケース

特定口座(源泉徴収あり)の場合、確定申告が原則不要です。

ただし、状況によっては、確定申告をしたほうが税制上有利になるケースもあります。

確定申告したほうがよいケースは、次のとおりです。

  • 他の特定口座などでの取引と損益通算する場合
  • 損失を翌年以降に繰り越す場合

他の特定口座などでの取引と損益通算する場合

損益通算とは、譲渡益などの利益から譲渡損などの損失を差し引ける制度です。課税計算をする際に、同一年分の利益と損失の相殺が可能です。

たとえば、譲渡益が10万円、譲渡損が6万円だった場合、10万円から6万円を差し引いた4万円が課税対象となります。

「特定口座(源泉徴収あり)」の場合、同じ特定口座内であれば、自動的に損益通算が行われます。

しかし、複数の銀行や証券会社で特定口座(源泉徴収あり)を保有している場合は、注意が必要です。複数の特定口座間で損益通算したい場合は、確定申告を行う必要があります。損益通算の結果、源泉徴収によって税金を払い過ぎていた場合は、過払い分の還付を受けられます。

損失を翌年以降に繰り越す場合

年間の運用損益がマイナスになった際、その年に控除しきれなかった損失を、最長3年間にわたって利益と相殺できます。これを「繰越控除」といいます。

繰越控除を行うには、確定申告が必要です。

つみたて投資枠は確定申告不要

NISA口座での運用で得られた利益に税金はかからないので、つみたて投資枠や成長投資枠の運用で得られた利益に対する確定申告は不要です。

ただし、次の場合は、確定申告が必要です。

  • NISAの非課税投資枠を超えて特定口座(源泉徴収なし)や一般口座などの課税口座で運用した場合
  • 2023年までの旧NISAで非課税保有期間が終了した商品を「特定口座(源泉徴収なし)」または一般口座に移管して運用を続けている場合

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つみたて投資枠と特定口座は併用できる?

つみたて投資枠と特定口座は併用できます。

ただし、効率よく資産運用するなら、まずはつみたて投資枠の活用がおすすめです。

つみたて投資枠は、年間で120万円まで投資できます。さらに、NISA口座で保有できる限度額(非課税保有限度額)は、つみたて投資枠と成長投資枠とあわせて1,800万円です。

つみたて投資枠の年間投資枠を超えて大きく投資したい場合は、成長投資枠も併用すれば、年間360万円まで投資できます。成長投資枠も併用してもなお余剰資金がある場合に、特定口座の併用を検討するとよいでしょう。

また、つみたて投資枠や成長投資枠では購入できない銘柄を運用したい場合は、特定口座を上手に活用しましょう。

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監修者コメント

金子賢司(かねこけんじ)

NISAは投資の利益が非課税になるメリットがあるので、特定口座はNISAの年間投資枠や非課税保有限度額の上限が近づいてから検討しても良いでしょう。

つみたて投資枠と特定口座を併用する際の注意点

つみたて投資枠と特定口座を併用する場合は、次の2つの点に注意しましょう。

  • つみたて投資枠(NISA口座)は損益通算ができない
  • 特定口座の保有資産はつみたて投資枠に移管できない

つみたて投資枠(NISA口座)は損益通算ができない

つみたて投資枠(NISA口座)と特定口座の間では、損益通算ができません

つみたて投資枠(NISA口座)は損益通算ができない

たとえば、A口座での利益が50万円、B口座での損失が30万円だった場合、A口座とB口座もどちらも特定口座であれば、損益通算でき、課税対象は20万円(50万円ー30万円)となります。

しかし、A口座が特定口座、B口座がつみたて投資枠(NISA口座)だった場合、損益通算できません。利益全額の50万円に対して税金がかかります。

特定口座の保有資産はつみたて投資枠に移管できない

これまで特定口座で運用していた資産を、つみたて投資枠に移して運用を続けることはできないため注意が必要です。

特定口座で保有している資産をつみたて投資枠で運用したい場合は、特定口座の資産を一度売却して、つみたて投資枠で再度積み立てすることになります。

ただし、特定口座で購入できた銘柄が、つみたて投資枠でも積立できるとは限りません。

つみたて投資枠の投資対象商品は、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託に限られており、積立できる商品は、NISA口座を開設する金融機関によっても異なります。

なお、どの口座で購入したか不明な場合は、銀行や証券会社の取引履歴画面などで確認できます。

NISA口座を活用した資産運用の相談はマネプラスへ

マネプラスでは、一般口座や特定口座、NISA口座を開設して資産運用の一歩を踏み出すことが可能です。

マネプラスのスマホアプリ「京銀アプリ」を利用すれば、マネプラスへ来店することなく、投資信託口座を開設でき、NISA口座も同時に申し込めます。

マネプラスでは、店舗にて資産運用や保険、各種ローンなどの相談が可能です。平日お忙しい方は、土曜日・日曜日に相談可能な「土・日ご相談プラザ」&「土曜ご相談プラザ」もあわせてご活用ください。

マネプラスのNISAなら選べる2つの開設方法

つみたて投資枠と特定口座に関するよくある質問

Q.つみたて投資枠を利用する際、特定口座を開設しないといけないのですか?

A.

つみたて投資枠を利用する際に、NISA口座開設とあわせて、特定口座または一般口座の開設が必要です。

なお、旧NISAで非課税保有期間が満了したときに特定口座を開設していない場合は、旧NISA口座の保有商品は一般口座に移されます。一般口座で運用して利益を得た場合、年間の損益をご自身で計算して、確定申告しなければなりません。

旧NISAの非課税保有期間満了後に課税口座で運用する場合は、特定口座を開設しておいたほうが、スムーズに確定申告を行えるでしょう。

Q.特定口座とNISA口座のどちらを利用するのがいいですか?

A.

投資初心者が効率よく資産運用をするなら、まずはNISA口座の非課税枠を利用するのがおすすめです。

NISAの非課税枠を上限まで利用したうえで、余剰資金がある場合は、特定口座との併用も検討するとよいでしょう。

Q.特定口座を開設する際、源泉徴収あり・なし、どっちを選べばいいですか?

A.

特定口座の源泉徴収あり・なしの違いは、確定申告が必要かどうかです。源泉徴収ありを選ぶと、確定申告が原則不要になります。

ただし、利益の金額によっては、本来納税義務のない税金を徴収されてしまうことを理解しておきましょう。

詳しくは、「特定口座(源泉徴収あり):確定申告不要」で解説しています。

Q.つみたて投資枠と特定口座は確定申告が必要ですか?

A.

つみたて投資枠は、確定申告が不要です。

「特定口座(源泉徴収あり)」の場合は確定申告が原則不要、「特定口座(源泉徴収なし)」の場合は確定申告が必要です。

ただし、「特定口座(源泉徴収なし)」でも、給与の年間収入金額が2,000万円以下の方や、給与所得と退職所得以外の所得が20万円以下の方などの場合は、確定申告する必要はありません。

Q.NISA口座で買うつもりが、間違えて特定口座で買ってしまいました。どうすればいいですか?

A.

特定口座からNISA口座へ金融商品を移すことはできないため、特定口座でそのまま運用するか、いったん売却して、NISA口座で買い直すことになります。

監修者コメント

金子賢司(かねこけんじ)

特定口座のほうがはるかに商品の選択肢が多いため、魅力的に見えるかもしれません。しかし新NISAの商品ラインナップでも、ほとんどの投資ニーズは満たせるはずです。