つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の売却方法|タイミングや手数料、注意点も解説
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)で保有している商品は、自分の好きなタイミングでいつでも売却できます。ただし、すべて売却したり何度も売却したりすると、資産が増えにくくなってしまう可能性があります。
本記事では、つみたて投資枠(旧つみたてNISA)を売却する方法や、売却するタイミング、売却する際の注意点を解説します。着実に資産を形成するために、つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の売却方法を押さえたうえで、自分に合った売却タイミングを検討していきましょう。
- つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は、いつでも売却できる
- つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の売却は、アプリやパソコンなどインターネット上でもできる
- つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は複数回に分けて売却すると利益を得やすい
目次
OPENつみたて投資枠(旧つみたてNISA)はいつでも売却できる
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)で保有している商品は、自分の好きなタイミングで売却できます。
結婚や出産、マイホームや車の購入など、ライフイベントに向けてまとまった資金が必要になるときもあるでしょう。そういったときも、保有商品を売却することで現金として引き出しが可能です。
売却する際は、保有しているすべての商品を売却することも、保有商品の一部を売却することもできます。複数の商品を保有している場合は、商品を選んで売却することも可能です。
売却すると、事前に登録した金融機関の口座に入金されます。ただし、商品によっても異なりますが、売却から入金までに1週間以上かかる場合もあることに注意が必要です。
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つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の売却方法
金融機関によっても異なりますが、店頭窓口またはスマートフォンやパソコンなどを使ってインターネット上で売却できます。
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)をインターネット上で売却する方法は、次のとおりです。
1. 金融機関のマイページにログインする
利用している金融機関のマイページにログインして、保有商品の一覧ページを開きます。
マイページにログインするときは暗証番号(パスワード)が必要なため、あらかじめ確認しておきましょう。
2. 売却する商品を選ぶ
保有商品の一覧ページから、売却する商品を選択します。
複数の商品を売却したい場合は、保有商品1つずつ手続きをしましょう。
3.「一部売却」あるいは「全額売却」を選択する
保有商品の一部のみを売却するのか、全額を売却するかを選択します。
4. 売却する口数や金額を指定する
一部売却の場合、売却したい口数または金額を指定します。金融機関によっては、口数または金額のどちらかのみを選択する場合もあります。
なお、「口数」(くちすう)とは投資信託の取引単位のことです。
5. 売却内容を確認して注文を確定する
売却注文内容を確認して、問題がなければ暗証番号(パスワード)を入力し、注文を確定します。
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)を売却したお金はどこに入金される?
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)を売却すると、数日後に、利用している金融機関の指定口座にお金が振り込まれます。
証券会社の場合は、証券口座(総合取引口座)に振り込まれます。証券口座からは、銀行口座などのようにATMで現金を引き出すことはできないため、別途、銀行口座への出金指示を行う必要があります。
銀行の場合はあらかじめ指定した預金口座に振り込まれるため、出金指示をする必要はありません。
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つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の売却・出金に手数料はかかる?
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の売却・出金に対してかかる手数料はありません。
ただし、保有商品や金融機関によっては別のコストがかかる場合があります。
売却する商品によっては信託財産留保額がかかる
保有している商品によっては、信託財産留保額がかかる場合があります。
信託財産留保額とは、投資信託の換金時に投資家が支払う費用のことです。信託財産留保額がかかる場合は、基準価額に対して最高0.5%など一定の割合が差し引かれます。
信託財産留保額の有無や費用は、目論見書(投資信託の説明書)で調べられるため、購入前に確認しておきましょう。
出金手数料はかからない場合が多い
証券会社を利用している場合に、証券口座から銀行口座へ出金する際は、複数の出金方法から選べることもあります。その多くの場合で、出金手数料はかかりません。
ただし、売却金が証券口座に入金されるのと同時に、自動で銀行口座へ出金するようなサービスを利用する場合は、手数料がかかることもあるため注意が必要です。
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の売却を検討するタイミング
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)を引き出すタイミングとして考えられるのは、次のとおりです。
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の売却を検討するタイミング
- 目標金額に到達したとき
- まとまったお金が必要なとき
- 非課税保有期間20年を迎えるとき
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)では、非課税保有期間が無制限になったため、売却のタイミングは自分で決める必要があります。
目標金額に到達したとき
「利益が500万円になった」「資産が1,000万円に到達した」など、目標としていた金額を達成したときは、つみたて投資枠(旧つみたてNISA)を引き出すタイミングとして望ましいです。
ただし、目標金額に達しても「貯金に余裕がある」「ライフイベントの予定がない」など、売却の必要性がなければ、そのまま運用しても問題ありません。
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)での投資は長く続けるほど利益が増える可能性が高くなるため、売却の必要性がなければ引き続き運用することでさらに資産を増やせる可能性があります。
また、新NISAは非課税保有限度額が復活します。売却して利益を確定させて、再投資するのもよいでしょう。
まとまったお金が必要なとき
まとまったお金が必要なときも、つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の売却を検討するタイミングのひとつです。
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)を利用する目的は「老後資金」「住宅購入・リフォーム」「教育費」など人によって異なります。たとえば、住宅のリフォーム資金を貯める目的で運用している場合は、実際にリフォームするときが売却するタイミングとしてふさわしいでしょう。
ただし、売却するタイミングで資産が必要金額を超えていた場合は、売却する金額を必要金額に留めておくことを推奨します。
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)で保有している商品は、すべて売却することもできますが、一部を売却することも可能です。必要金額のみを売却して、残りを引き続き運用すれば、さらに資産を増やせる可能性があります。
非課税保有期間20年を迎えるとき
旧制度のつみたてNISAを運用している場合は、非課税保有期間の20年を迎えるタイミングで売却するのもよいでしょう。
つみたてNISAは、非課税保有期間終了後、課税口座に移管されますが、課税口座を運用して得た利益には20.315%の税金がかかります。
売却して得たお金は、自由に使うのもよいですし、新NISAの投資資金に回すのもよいでしょう。
なお、つみたてNISAの非課税保有期間が終了する20年後に元本割れをしている可能性があります。そのため、非課税保有期間の終了を待たずに売却するのも選択のひとつです。
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監修者コメント
非課税保有期間終了後に課税口座に移す場合、移管したときの価格が取得価格になり、取得価格から増加した利益が課税対象となるため注意が必要です。
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の売却に関する注意点
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)を売却する際は、次の点に気をつけましょう。
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の売却に関する注意点
- 複利効果が得られなくなる
- 旧NISAの非課税投資枠は再利用できない
- 売却後の現金化には数日かかる
- 売却後に積立を停止するには別途手続きが必要
複利効果が得られなくなる
複利とは、元利(元本+利益)に利益が発生する仕組みのことです。10年、20年と長く運用するほど複利効果が得られ、資産を増やせる可能性が高くなります。
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は好きなタイミングで何度でも引き出せます。しかし、利益が出るたびに売却してしまうと、複利効果を得にくくなってしまいます。
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)を売却すると、長期投資をしていれば得られたであろう利益を得られなくなることを理解しておきましょう。
旧NISAの非課税投資枠は再利用できない
旧NISAは2023年までの制度のため、商品を新たに購入することはできません。
売却の必要性がない場合は、非課税保有期間が終わるまで保有していたほうが資産を増やせる可能性があります。
売却後の現金化には数日かかる
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)を売却しても、すぐに現金を受け取れるわけではないため注意しましょう。
売却注文後に現金を引き出せるようになるまでの期間は、商品によって異なりますが、1週間以上かかる場合もあります。
お金を使う日が決まっている場合は、引き出しまでにかかる時間をあらかじめ考慮しましょう。
売却後に積立を停止するには別途手続きが必要
積立購入を停止したい場合や積立金額を変更する場合は、別途、手続きが必要です。
たとえつみたて投資枠(旧つみたてNISA)で保有している商品をすべて売却したとしても、毎月の積立購入は継続されます。売却取引と積立の変更手続は、別ものであることを理解しておきましょう。
積立の変更は、金融機関のアプリやマイページなどから行えます。一度積立設定を停止しても、改めて積立設定をすることで積立を再開することも可能です。
ただし、積立自体が難しくなった場合は、積立停止よりも積立金額の減額を検討するとよいでしょう。積立金額は、減額もできます。つみたて投資枠は長期間続けることがリスクの軽減につながるため、無理のない範囲で積み立て続けることが望ましいです。
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の売却で利益を得るポイント
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の売却で利益を得るポイントは、次のとおりです。
- 複数回に分けて売却する
- 非課税保有期間の残りが短いものから売却する
複数回に分けて売却する
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は、毎月一定額をコツコツ購入することで平均購入金額を安定させ、リスクを抑えながら資産を増やす投資手法です。決まったタイミングで自動購入を続けるしくみであるため、安いときに買わなかったり、高いときに買いすぎてしまったりすることを避けられます。
売却の際も、複数回に分けることで、安いときにすべて売ってしまうことを防ぎ、平均売却金額を安定させることができます。
非課税保有期間の残りが短いものから売却する
旧NISAで複数商品を保有している場合は、非課税保有期間の残りが短いものから売却することで、非課税メリットを最大限受けられる可能性があります。
たとえば、つみたてNISAで2018年にA商品、2019年にB商品を積立購入していたとします。この場合は、A商品から先に売却すれば、A商品の非課税保有期間を最大限に活用でき、B商品も引き続き非課税保有期間内で運用できます。
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は必要なタイミングで売却しよう
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は目標金額に達したときや、ライフイベントなどでまとまった資金が必要になったときなど、好きなタイミングで売却できます。
ただし、長期間の積立投資で資産を増やせる可能性が高まることを理解したうえで、売却するタイミングや金額を考慮しましょう。必要な金額だけ売却し、残りは運用を続けることで、すべて売却するよりも効率的な資産形成が期待できます。
なお、NISAの取引で不安な点がある場合は金融機関に相談するのもよいでしょう。
マネプラスの「土・日ご相談プラザ」「土曜ご相談プラザ」では、NISAに関するお悩みはもちろん、投資や相続、家計相談などのお金に関する悩みを無料で相談できます。
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つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の売却に関するよくある質問
Q.つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の売り時はいつですか?
A.
あらかじめ設定していた目標金額に達したときや、ライフイベントでまとまった資金が必要になったときに売却を検討するとよいでしょう。
ただし、つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は長く投資・運用するほど複利効果による利益が見込めます。売却の必要がなければ、売却せずに運用を続けたほうが資産を増やせる可能性があります。
Q.つみたてNISAで売却して得たお金を使って、つみたて投資枠で再投資することはできますか?
A.
できます。ただし、つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の年間投資枠120万円、非課税保有限度額1,800万円の範囲内で投資する必要があります。
Q.つみたて投資枠(旧つみたてNISA)を売却したらそのお金はどこに振り込まれるのですか?
A.
売却して得たお金の入金先は、利用している金融機関によって異なります。
銀行を利用している場合は銀行口座、証券会社を利用している場合は証券口座(総合取引口座)が振込先です。証券口座から直接現金を引き出すことはできないため、銀行口座への出金を指示する必要があります。
Q.つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の売却と解約は同じですか?
A.
「売却」と「解約」が同じ意味を指すかどうかは、利用する金融機関によっても異なります。一般的には、保有商品を売却して現金として引き出すことを「売却」、口座自体を停止させて利用できなくすることを「解約」と呼びます。
特に銀行の場合は、保有商品を換金することも口座を利用できなくすることも「解約」または「換金」と呼ぶこともあるようです。
Q.つみたて投資枠(旧つみたてNISA)を売却後、積立を再開することはできますか?
A.
できます。
ただし、積立を再開できるのはつみたて投資枠(旧つみたてNISA)です。つみたてNISAは2023年までの制度のため、新たな購入はできません。
監修者コメント
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)を少しずつ売却すると、残った金額で引き続き運用ができるため、資産寿命を延ばせる効果も期待できます。資産寿命を延ばすという考え方は、老後資金を準備するときに有効です。