つみたて投資枠のポートフォリオの作り方とは?年代別・リスク別の組み方を解説
NISAのつみたて投資枠を利用した資産運用では、長期的な視点で適切に資産を分散させるため、ポートフォリオを組むことがおすすめです。ただし、年齢やリスク許容度によって、最適なポートフォリオの組み方は変わってきます。
本記事では、つみたて投資枠におけるポートフォリオの基本的な考え方から、年代別・リスク別の具体的な組み方まで、わかりやすく解説します。ご自身に合ったポートフォリオを理解し、効率的な資産形成を目指しましょう。
- つみたて投資枠でポートフォリオを組む必要性
- 年代ごとのおすすめのポートフォリオ例
- リスク許容度ごとのおすすめポートフォリオ例
目次
OPENつみたて投資枠でポートフォリオを組む必要性
投資の目的やリスク許容度に合わせた資産運用には、ポートフォリオの作成が必要です。1つの銘柄のみに投資している場合、その銘柄が値下がりすると資産も失われる可能性があります。異なる特徴の銘柄を複数組み合わせることで、1つの銘柄が値下がりしても他の銘柄でカバーし、全体の損失を抑える効果が期待できます。
ポートフォリオはご自身の目的に応じて自由に組めるため、組み方次第ではリスクを抑えるだけでなく、積極的にリターンを狙うことも可能です。
つみたて投資枠で購入できる投資信託の特徴
つみたて投資枠で購入できる投資信託は、大きく分けてインデックスファンドとアクティブファンドの2種類があります。適切なポートフォリオの構築には、それぞれの特徴を理解することが大切です。
インデックスファンド
インデックスは「指標」を意味し、インデックスファンドとは、株価指数等の指標に連動した成果を目指して運用する投資信託を指します。パッシブファンドと呼ばれることもあります。ベンチマークとなる指標は、日経平均株価やダウ平均株価などの株価指数のほか、債券指数やREIT(不動産投資信託)指数などさまざまです。
指数との連動を目指すため比較的値動きが予測しやすく、投資初心者の方にも向いている商品です。一般的に信託報酬や手数料のコストは、アクティブファンドと比べると低い傾向にあります。
アクティブファンド
アクティブファンドは、ベンチマークを上回る成果を目指して運用します。そのため、ファンドマネージャーと呼ばれる運用者が銘柄を選定し、積極的に組入銘柄の入れ替えが行われます。管理や運用の手数料がかかるため、信託報酬などのコストは比較的高い傾向にあります。
インデックスファンドと比較すると大きなリターンを期待できることもありますが、必ずしもベンチマークを上回る利益が出るとは限りません。2024年1月までの10年間の日本のインデックスファンドとアクティブファンドのリターンを比較すると、インデックスファンドは+8.3%、アクティブファンドは+5.7%と、インデックスファンドのほうが成績がよいという統計もありました。
アクティブファンドは銘柄選定が難しく、中級者や上級者向けの商品といえます。
つみたて投資枠の銘柄の選び方
つみたて投資枠で効果的なポートフォリオを構築するには、次の点を考慮して銘柄を選びましょう。
- 長期的な成長が期待できる
- 運用コストが低い
- 純資産総額が大きい
長期的な成長が期待できる
長期的に成長し、将来的に値上がりが期待できる銘柄を選ぶことが大切です。一時的な利回りの高さよりも、継続的に安定しているかどうかを重視しましょう。企業の成長性や財務状況などから総合的に判断することが大切です。
運用コストが低い
運用にかかるコストが高いと、実質の利回りは低くなってしまいます。つみたて投資枠におけるおもな運用コストは、投資信託の管理や運用の手数料である「信託報酬」です。長期運用の場合、運用コストの差が将来の利益に大きな影響を与える可能性もあります。
信託報酬は投資する商品によって異なります。信託報酬だけで投資する商品を選ぶ必要はありませんが、同じような投資対象の商品を比較する場合は、ひとつの判断材料としてもよいでしょう。
純資産総額が大きい
純資産総額とは、投資信託に組み入れられている銘柄をすべて時価評価し、債券利息や配当金などを加えた総資産額から、運用コストなどを差し引いたものです。
純資産総額が小さく、ファンドの規模が縮小すると、予期せぬタイミングで運用が終了する「繰上償還」となるおそれもあります。安定した運用を続けるためには、ファンドの純資産総額が潤沢である必要があります。
つみたて投資枠でポートフォリオを組む手順
つみたて投資枠でポートフォリオを組む流れは次のとおりです。
- 投資をする目的を明確にする
- 資産配分を決める
- 銘柄を選択する
それぞれの手順を詳しく紹介します。
1.投資をする目的を明確にする
まずは、ご自身の投資の目的を明確にしましょう。投資の目的は老後の資産形成、お子さまの教育資金の準備などさまざまです。
つみたて投資枠は、一般的に10年以上の長期運用を続けることが理想です。ご自身がどのくらいの期間運用できるかも考慮しておきましょう。
2.資産配分を決める
運用目的やリスク許容度、資産状況などに合わせて、運用する資金をどのように分けるか決める資産配分も大切です。
たとえば、投資の目的が「30年後の老後資金として2,000万円を準備する」という場合の資産配分の考え方は次のとおりです。
運用期間:30年
目標金額:2,000万円
毎月の積立額が3万円だとすると、目標到達に必要な利回りや具体的な資産配分が見えてきます。運用期間や目標とする利回りから、国内株式に〇%、外国株式に〇%といったポートフォリオの目安もわかります。
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3.銘柄を選択する
資産配分が決まったら、具体的にどの銘柄に投資するかを選択します。商品を選ぶ際は、ファンドの種類や運用コスト、過去のパフォーマンスなどを比較するとよいでしょう。
【年代別】つみたて投資枠のポートフォリオ例
マネプラスで取り扱っている商品でのポートフォリオ例を紹介します。ただし、これらはあくまで一例であり、投資の目的や実際のライフスタイルに合わせて調整することが重要です。
20代のポートフォリオ一例
20代は運用できる期間が長く、比較的リスク許容度が高いといわれる世代です。リスクを取ってリターンを追求しやすいため、株式の比率を高めに設定してもよいでしょう。特に、今後の成長が期待される海外株式の比率を多めにするのも選択肢のひとつです。
30代のポートフォリオ一例
結婚や出産、子育てなどでライフスタイルが変化しやすい30代は、20代よりはやや保守的になるものの、依然として成長性を重視した投資が可能です。比較的値動きの小さい国内株式をポートフォリオに組み入れることで、全体のリスクを下げつつリターンを狙います。
40代のポートフォリオ一例
40代は、お子さまがいる場合は教育費の負担が大きくなるほか、老後の資産形成をこれまで以上に意識し始める年代です。銘柄が全世界に分散された全世界株式を中心に、大きなリターンを狙うよりも、リスクを抑えた運用を目指します。
まだまだ月々の支出が多い世代なので、家計管理を行いながら無理のない範囲で投資資金を捻出しましょう。
50代のポートフォリオ一例
50代は、退職後の老後の生活を見据え始める年代です。お子さまが独立している場合は、ある程度まとまったお金を投資に回せるのもこの年代の特徴といえます。つみたて8資産均等バランスを入れることで、ポートフォリオ全体のリスクを抑えつつ、ある程度の株式投資も維持してインフレリスクに備えられます。
監修者コメント
年代別のポートフォリオはあくまでも目安に過ぎません。ご自身のリスク許容度を考慮して、ご自身にあったものを選びましょう。
【リスク・リターン別】つみたて投資枠のポートフォリオ例
年代ごとのポートフォリオ例を紹介しましたが、リスク許容度は年齢だけでは決められないこともあります。リスク・リターン別のポートフォリオ例も紹介します。
ローリスク・ローリターン
- つみたて8資産均等バランス 100%
分散投資を通じて安定的な資産形成を希望される場合は、国内外の株式・債券・リートに分散投資を行う バランスファンドがおすすめです。
ミドルリスク・ミドルリターン
ある程度のリスクを許容できる場合は、リターンを期待して株式投資の比率を高めてもよいでしょう。外国株式と比較すると値動きの小さい国内株式でリスク調整をします。
ハイリスク・ハイリターン
- はじめてのNISA・米国株式インデックス(S&P500) 60%
- つみたて新興国株式 20%
- ひふみプラス 20%
リスクを許容しつつ、積極的にリターンを求める場合は、ライフスタイルや資産に応じて積極的な投資をしてもよいかもしれません。新興国を含めた外国株式への投資比率を高めるほか、より高いリターンを期待できるアクティブファンドへの投資も選択肢となります。
ポートフォリオを組んだあとは定期的に見直しが必要
ポートフォリオは「一度組んだら終わり」ではありません。投資の目的やライフスタイル、年齢の変化などにあわせて定期的に見直すことも必要です。
年齢を重ねるごとにリスク許容度が低くなることも考えられます。最初に組んだポートフォリオがずっと最適とは限らないため、定期的に資産配分を確認し、メンテナンスすることが大切です。
NISA初心者の方なら「バランスファンド」も向いている
50代におすすめのポートフォリオ例でも紹介したバランス型のファンドは、投資初心者の方にもおすすめです。1つの商品を購入するだけで、複数の国や地域の株式や債券、不動産投資信託などの資産に分散投資ができます。運用会社が資産配分をメンテナンスする「リバランス」を行ってくれるため、ポートフォリオの偏りをご自身で調整する必要もありません。
リスクを抑えた分散投資をしたいけれど、どの商品を組み合わせればいいかわからない場合は選択肢としてもよいでしょう。
マネプラスなら資産運用の相談も可能!
ここまでポートフォリオの例を紹介してきましたが、実際には個人の状況や目標によって最適なポートフォリオは異なります。どのようなポートフォリオを組むべきか、どの銘柄を選択すべきか迷われる場合は、専門家に相談しながら決めることをおすすめします。
マネプラスでは、店舗にて資産運用や保険、各種ローンなどの相談が可能です。平日お忙しい方は、土曜日・日曜日に相談可能な「土・日ご相談プラザ」&「土曜ご相談プラザ」もあわせてご活用ください。
つみたて投資枠のポートフォリオに関するよくある質問
Q.つみたて投資枠のポートフォリオとはどのようなものですか?
A.
ポートフォリオとは、金融商品の組み合わせのことです。たとえば、A社の株式を60%、B社の株式を40%といった具合です。
Q.つみたて投資枠のポートフォリオの作り方を教えてください
A.
つみたて投資枠でポートフォリオを組む手順は次のとおりです。
- 投資をする目的を明確にする
- 資産配分を決める
- 銘柄を選択する
Q.つみたて投資枠を始めるためにポートフォリオは必要ですか?
A.
ポートフォリオを組まなくても、つみたて投資枠を始めることは可能です。しかし、投資の目的に合わせたリスク分散ができるなどのメリットがあるため、ポートフォリオを組むことをおすすめします。
Q.30代におすすめのつみたて投資枠のポートフォリオはどのようなものですか?
A.
30代におすすめのポートフォリオの例は、次のとおりです。値動きの比較的小さい国内株式をポートフォリオに組み入れることで、全体のリスクを下げつつリターンを狙います。
- はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)50%
- はじめてのNISA・日本株式インデックス(日経225) 25%
- はじめてのNISA・米国株式インデックス(S&P500) 25%
Q.40代におすすめのつみたて投資枠のポートフォリオはどのようなものですか?
A.
40代はこれまでの投資経験を活かし、世界に幅広く分散投資をしてリスクを抑えつつリターンを狙いましょう。おすすめのポートフォリオの例は次のとおりです。
- はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)70%
- はじめてのNISA・日本株式インデックス(日経225) 15%
- はじめてのNISA・米国株式インデックス(S&P500) 15%
監修者コメント
投資信託自体が多くの資産に分散投資できる運用方法であるのに加え、積立投資、長期投資をすることで投資リスクを抑えられます。元本割れリスクもありますが、積極的に将来の資産形成に役立ててください。