NISAの恒久化でメリットが増えた?旧制度との違いや活用方法を解説
2024年1月から導入された新NISAでは、口座開設期間が恒久化され、いつでもNISAを始められるようになりました。さらに、非課税で保有できる期間が無期限になったり、年間や生涯を通して投資できる金額が増えたりと、より多くの人が始めやすく、資産を形成しやすい制度へと拡充されています。
本記事では、口座開設期間の恒久化をはじめ、新NISAが導入されたことによるメリットを、旧制度と比較しながら詳しく解説します。旧NISAの保有商品への対応もあわせて解説していますので、本記事を参考にしてNISAへの理解を深めていきましょう。
- 新NISAでは、口座開設期間が恒久化され、いつでもNISAを始められるようになった
- NISA制度は、2024年1月から一部制度が変わり、より使いやすくなった
- 新NISAでは、ご自身の収入や状況、ライフステージにあわせて無理のない金額で続けることが大切
目次
OPEN新NISAでは2つのことが恒久化された
新NISAでは、口座開設期間が恒久化され、非課税保有期間が無期限化されました。
口座開設期間が恒久化されたことによって、日本に住む18歳以上(※)の方であれば、いつでもNISAを始められるようになっています。
※NISAを開設する年の1月1日時点で18歳以上
また、非課税保有期間が無期限化されたことによって、旧NISAよりも長期的な投資・運用ができるようになりました。そのため、長い期間税金の負担なく資産形成ができる可能性が高くなりました。
なお、新NISAの導入に伴い、ジュニアNISAは廃止となっています。
旧制度で購入した金融商品はどうなる?
旧NISAで購入した商品は、旧NISAの非課税保有期間が終了するまで非課税で保有できます。
旧NISAでの保有商品を、新NISAへ移行することはできません。そのため、非課税保有期間終了前に売却するか、課税口座で保有するかを選ぶ必要があります。
なお、2023年末時点で旧NISA口座の開設をしている場合、口座を開設している金融機関で新NISA口座が自動的に開設されます。
新NISAと旧NISAの違い
口座開設期間が恒久化されただけでなく、さまざまな点で大きく変わりました。旧NISAと新NISAの概要は、次の表のとおりです。
【2023年までの旧NISA】
【2024年からの新NISA】
新NISAで変わった5つのこと
新NISAの導入により、より多くの人が資産形成しやすい制度となりました。大きく変わった点は、次の5つです。
非課税保有期間は無期限化(恒久化)された
非課税保有期間が無期限化されたことによるメリットは、次の2つです。
- 非課税期間終了時の対処を気にせず投資できる
- 超長期的な投資・運用ができる
旧NISAで保有している商品は、非課税保有期間終了後に自動的に課税口座へ移るため、その後、利益が出た場合は、利益に対して20.315%の税金を納める必要があります。そのため、旧NISAでは非課税保有期間終了後も課税口座で運用を続けるか、売却するかを選択する必要がありました。しかし、新NISAでは非課税保有期間が無期限化されたことにより、その選択をしなくて済みます。
さらに、非課税保有期間が無期限化されたことにより、旧NISAよりも超長期的な投資・運用ができるようになりました。
超長期的な投資・運用ができることで、複利効果が得られ、より効率的に資産を増やせる可能性があります。複利効果とは、運用により得られた利益が、元本に上乗せ・運用されることで、さらに増える期待が持てるしくみのことです。
「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類になった
新NISAでは、ジュニアNISAが廃止され、「つみたて投資枠(旧つみたてNISA)」と「成長投資枠(旧一般NISA)」の2種類となりました。
つみたて投資枠、成長投資枠のいずれも、18歳以上(※)から利用できます。
※NISA口座を開設する年の1月1日時点で18歳以上
「つみたて投資枠」と「成長投資枠」が併用できようになった
旧制度では、つみたてNISAと一般NISAは併用できず、どちらかを選択しなければなりませんでしたが、新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠は、併用が可能となりました。
年間投資枠が増額された
新NISAでは、年間で投資できる金額が、旧NISAに比べて大きく増えたことも特徴のひとつです。
旧NISAの年間投資枠は、つみたてNISAが40万円、一般NISAが120万円でした。しかし、新NISAの年間投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円です。
さらに、つみたて投資枠と成長投資枠が併用できるようになったため、年間で最大360万円まで投資できるようになりました。
新たに「非課税保有限度額」が設けられた
新NISAでは、1人あたり1,800万円の非課税保有限度額が設定されました。
つみたて投資枠だけで1,800万円使い切っても、つみたて投資枠と成長投資枠を併用して1,800万円を使い切っても、非課税保有限度額の使い方は自由です。
ただし、非課税保有限度額のうち、成長投資枠で投資できるのは1,200万円までのため、成長投資枠を活用した投資だけで非課税保有限度額を使い切ることはできません。
監修者コメント
非課税保有限度額1,800万円は簿価(買値)で管理され、売却した場合は枠の再利用が可能です。投資で生じた利益によって、非課税保有限度額を減少するということはありません。
新NISAのデメリットはある?
「NISAの必要性がない」「NISAは儲からない」などとネガティブなイメージをもつ人もいるでしょう。
NISAは投資のため、デメリットもあります。
たとえば、NISAを利用していくなかで、投資した金額を下回る「元本割れ」を経験することもあるでしょう。元本割れのリスクがあるのは、デメリットのひとつでもあります。
ただし、元本割れはNISAに限らず投資全般に起こり得ることです。投資方法によっては、元本割れなどのリスクをできるだけ抑えた運用もできます。
NISAを始めるうえで、デメリットもよく理解しておくことが重要です。次の記事では、デメリットやつみたて投資枠の利用が向いていない人の特徴なども詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
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つみたて投資枠(旧つみたてNISA)はデメリットしかない?やめたほうがいい人の特徴や注意点
新NISAを活用する3つのポイント
新NISAを活用するには、次の3つのポイントを押さえておきましょう。
新NISAを活用する3つのポイント
- つみたて投資枠は長期運用が前提である
- 無理のない金額から投資をする
- 投資目的に応じた商品を運用する
つみたて投資枠は長期運用が前提である
新NISAのなかでも特に「つみたて投資枠」は、長期・積立・分散投資をすることで、将来の資産を形成するための制度です。そのため、できるだけ長く投資・運用することを心がけましょう。
長く投資・運用することで、リスクを抑えることも期待できます。
金融庁が公表するデータによれば、資産や地域を分散して積立投資を行い、20年間保有した人に元本割れした人はおらず、多くの人の運用成果が年率2~8%です。一方で、5年間保有した人では、10%を超える人に元本割れが生じています。
途中で売ったり積立投資をやめることなく長期的に運用すれば、資産価値が一時的にマイナスになっても、その後プラスに転じる可能性もあります。
元本割れをしてもあせってすぐに売却するのではなく、保有し続けるといった選択肢もあることを理解しておきましょう。
無理のない金額から投資をする
新NISAでは、つみたて投資枠(年間120万円)と成長投資枠(年間240万円)合計360万円、非課税保有限度額は1,800万円まで活用できますが、必ずしも使い切る必要はありません。
成長投資枠を活用して年間360万円を投資した場合は、最短5年で非課税保有限度額を使い切れます。しかし、平均給与から考えると、年間360万円を投資できる人は少数に限られるでしょう。国税庁の調査によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は458万円です。
参考:国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査ー調査結果の概要ー」
一方、つみたて投資枠を活用して非課税保有限度額を使い切るには、最低でも毎月5万円を30年間ずっと積み立て続ける必要があります。
毎月5万円なら不可能ではないかもしれませんが、無理に上限を目指す必要はありません。生活費やお子様の教育資金などを投資資金に回すのは避け、無理なく投資できる金額を検討していきましょう。
なお、毎月の積立額は変更できます。収入やライフステージの変化にあわせて調整するのもよいでしょう。
投資目的に応じた商品を運用する
自分の投資目的や状況に応じて投資商品を決めることが大切です。
たとえば、数ある金融商品のなかでも、株式投資は比較的ハイリスク・ハイリターンの商品です。
値動きが大きいため、大きなリターンを得られる可能性もある一方で、その分リスクも大きくなります。お子様の進学資金など、資産価値が減っては困るような目的では、ハイリスク・ハイリターンの商品を選ばないことも重要です。
元本保証もなく、商品の値動きによってご自身の資産価値が大きく変わることから、特に投資に慣れていない方は気持ちが落ち着かなくなる可能性もあります。
そのような場合は、つみたて投資枠を活用して投資信託で運用するのがよいでしょう。株式などの他の金融商品に比べると、リスクを分散させて運用することが可能です。
さらに、投資信託のなかでも日経平均などの指数に連動した運用成果を目指すインデックスファンドは、アクティブファンドよりも値動きが把握しやすく、知識が少なくても始めやすい商品です。
「どの商品を買えばいいのかわからない」という方は、NISAに関する相談窓口がある銀行などの金融機関でNISA口座を開設すると心強いでしょう。
新NISAはいつはじめるべき?
新NISAは、口座開設期間が恒久化されました。日本に住む18歳以上(※)の人であれば、いつでもNISAを始められます。
※NISA口座を開設する年の1月1日時点で18歳以上
ただ、時間をかけて運用したほうが複利効果が働くため、なるべく早く始めるのがおすすめです。特につみたて投資枠などの長期運用を前提とした投資の場合は、少額でもできるだけ早く始めるとよいでしょう。非課税保有期間が無期限のため、早く始めるほど長く運用できます。年の途中から始めても不利になることはありません。
ただし、「家計の収支を把握できていない」「家計がいつも赤字である」など、金銭的な余裕がない状況で投資を始めるのはおすすめできません。
ご自身の収入や状況、ライフイベントなどを考えながら始めましょう。
NISAに関するご相談はマネプラスまで
マネプラスでも、新NISAの口座を開設できます。
マネプラスのスマートフォンアプリ「京銀アプリ」を利用すれば、店頭へ来店しなくても口座開設から取引まで完結するため便利です。
NISAで不安がある方や、どの商品を買えばいいかわからない方は、マネプラスのお近くの店舗へお越しください。
新NISAの恒久化に関するよくある質問
Q.新NISAでは何が恒久化されましたか?
A.
口座開設期間が恒久化され、いつでもNISAを始められるようになりました。
その他、非課税保有期間の無期限化、年間投資枠・非課税保有限度額の増加など、投資初心者にとって始めやすく資産を築きやすいなど、メリットの多い制度へ拡充されています。
Q.非課税保有期間が無期限化されるメリットはなんですか?
A.
旧NISAよりも長く運用できる点と、非課税期間の終了時の対処を考えることなく運用を続けられることがメリットです。
Q.新NISAと旧NISAの違いを教えてください
A.
次の5点が大きな違いです。
- 非課税保有期間は無期限化(恒久化)された
- 「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類になった
- 「つみたて投資枠」と「成長投資枠」が併用できるようになった
- 年間投資枠が増額された
- 新たに「非課税保有限度額」が設けられた
詳細は、「 新NISAと旧NISAの違い 」または「 新NISAで変わった5つのこと 」で解説しています。
Q.旧NISAから新NISAへのロールオーバーはできますか?
A.
できません。
旧NISAで保有している商品は、非課税保有期間が終了するまでに売却するか、非課税保有期間終了後も課税口座で運用を続けるかを選択する必要があります。
Q.新NISAの口座はどこで開設するのがいいですか?
A.
金融機関によって、口座開設方法や投資できる商品、取引方法、最低積立金額、積立頻度などの違いがあります。さまざまな金融機関の特徴をリサーチしながら、自分に合う銀行や証券会社を探してみるとよいでしょう。
まずは近くの金融機関で相談するのも手段のひとつです。
監修者コメント
新NISAは非課税保有期間が無期限化されたため、これまでよりも長期積立投資の運用がやりやすくなりました。少額からでも時間を味方にしてコツコツ積み上げていけば、大きく資産を増やせる可能性がある制度です。