つみたて投資枠と成長投資枠はどっちが得?年代別に向いているNISAを紹介
NISAは、運用して得られた利益に税金がかからないため、効率よく資産を増やせる可能性があります。ただし、つみたて投資枠と成長投資枠のどちらを選べばよいか分からず、なかなか始められないという人もいるのではないでしょうか。
つみたて投資枠と成長投資枠のどちらが向いているかを検討するには、それぞれの違いや特徴を理解しておくことが大切です。ライフスタイルや家族構成、投資目的などによっても異なるため、年代の傾向と照らし合わせて検討しましょう。
- つみたて投資枠と成長投資枠のどちらが向いているかは、人によって異なる
- 結婚や出産、子育てなどライフイベントが多い年代は、少額から始められるつみたて投資枠のほうが向いている
- 金銭的な余裕があり、長期投資が難しい世代は、成長投資枠のほうが向いている
目次
OPEN新NISAの「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の違い
2024年1月より新しいNISA(以下、新NISA)が導入されました。新NISAの導入により、大きく変わった点は、非課税保有期間が無期限化されたことや、年間投資枠や非課税保有限度額が拡充されたことが挙げられます。
新NISAの導入に伴い、これまでの「つみたてNISA」は「つみたて投資枠」へ、「一般NISA」は「成長投資枠」へと、名称や特徴が変わっていることを押さえておきましょう。
つみたて投資枠の特徴
つみたて投資枠は、NISAのなかでも長期・積立・分散投資を目的とした非課税枠です。
長い期間をかけて、時間を分散しながら、あらかじめ決めた金額をコツコツと積み立てることで、リスクを抑えながら資産形成できる可能性が高い投資手法です。
そのため、つみたて投資枠で購入できる商品は、金融庁が定めた基準を満たす、長期・積立・分散投資に向いている投資信託に限られています。
また、投資方法も積立購入に限られており、「A商品を120万円分一括で購入する」といった投資はできません。
NISA口座で運用している商品は、好きなタイミングで引き出し可能ですが、10年、20年と長い時間をかけてコツコツと積立を行い、将来のための資産を形成したい方に向いている投資方法といえるでしょう。
成長投資枠の特徴
成長投資枠では、つみたて投資枠よりも豊富な種類の投資信託や上場株式も購入できます。また、積立投資だけでなく、一括購入も可能です。
長期・積立・分散投資に捉われずに非課税で投資できることが成長投資枠の特徴です。積極的に投資を行い、利益を狙いたい方に向いている投資方法といえるでしょう。
つみたて投資枠のメリット・デメリット
つみたて投資枠のメリットとデメリットは、次のとおりです。
つみたて投資枠のメリット
- 少額から投資できる
- 積み立て続けることで将来の資産形成に役立つ
- 分散投資によりリスクを抑えて運用できる可能性がある
つみたて投資枠のデメリット
- 成長投資枠と比較して購入できる商品は少ない
- 一括投資ができない
- 資産を築くのに時間がかかる
つみたて投資枠は、成長投資枠に比べると、選べる商品も投資方法も限られているため、投資に慣れた人にとっては、やや不自由に感じる場合もあるでしょう。ただし、つみたて投資枠を活用して長期的に積立投資を続けていけば、投資初心者の方でも元本割れなどのリスクを抑えながら資産を形成できる可能性があります。
成長投資枠のメリット・デメリット
成長投資枠のメリットとデメリットは、次のとおりです。
成長投資枠のメリット
- つみたて投資枠と比較して購入できる商品の種類が豊富
- つみたて投資枠と比較して年間投資枠が大きい
- 積立購入と一括購入を選べる
- 株式投資の配当金も非課税で受け取れる
成長投資枠のデメリット
- 一括購入する場合は購入・売却のタイミングを自分で見極めなければならない
- 成長投資枠だけでは非課税保有限度額を使いきれない
成長投資枠は、つみたて投資枠に比べると商品や投資方法の選択肢が多く、柔軟に投資できます。その一方で、自分で決めなければならないことも多く、やや投資中級者向けの非課税枠といえるでしょう。
新NISAはつみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能
旧NISAでは、つみたてNISAと一般NISAは併用できず、どちらを利用するか選択しなければなりませんでした。
しかし、2024年1月から導入された新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できます。そのため、つみたて投資枠で毎月◯円ずつ積み立てながら、成長投資枠で気になる株式を購入するといった運用方法も可能になりました。
なお、商品によっては、つみたて投資枠と成長投資枠の両方で購入できます。株式投資などの積極的な投資に興味がない場合でも、つみたて投資枠と成長投資枠を併用すれば、つみたて投資枠の上限額を超えた投資も可能です。
監修者コメント
新NISAは非課税保有期間が無期限化され、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能になったことで、利便性が大きく向上しています。
【年代別】つみたて投資枠と成長投資枠どちらが得なのか
NISAを始めたい場合は、ご自身の状況にあわせてつみたて投資枠と成長投資枠を併用するか、どちらかを選択するかを決めましょう。しかし、人によってライフスタイルや家族構成、投資に使える金額、将来の目標などが異なるため、つみたて投資枠と成長投資枠のどちらが適しているかを断言することは、困難です。
ご自身の状況に合ったNISAを選ぶには、年代の特徴にあわせて選ぶのも手段のひとつです。年代の傾向やつみたて投資枠・成長投資枠それぞれの特徴を踏まえて、ご自身に合う運用方法を選びましょう。
20代|将来のための資産形成をするならつみたて投資枠
20代は、それほど収入が高くないケースも多く、まとまった投資資金を捻出することが難しいかもしれません。
これから資産を形成する20代は、早い時期から「貯蓄」や「投資」の意識を持ち、将来に向けて準備を始めることが大切です。
投資には、どのような商品にも、投資した金額を下回る元本割れを起こす可能性があります。特に、大きな利益を目指せる可能性のある商品は、元本割れする可能性も大きくなります。
つみたて投資枠は、10年、20年先といった将来に向けてコツコツと投資し続けることで、元本割れなどの可能性を抑えながら資産形成を目指せる投資です。
30代から40代にかけては、お子様の教育資金だけでなく、住宅やマイカーの購入費用など、日常的にお金がかかる年代ともいえます。たとえ少額でも、今から投資を始めていれば、日常的にお金がかかる年代になったときに備えられます。
10年、20年後のために、つみたて投資枠を活用して資産形成を始めていきましょう。
30代|ライフスタイルの変化にもあわせやすいつみたて投資枠
30代は、20代に比べれば収入も安定している年代といえるでしょう。
ただし、結婚や出産・子育てなどさまざまなライフイベントが発生しやすい年代でしょう。大きな出費も予想されるため、これから必要となるお子様の教育資金や老後資金などに向けて、NISAを活用した投資を続けることが有効です。
教育資金などで日常的にお金が必要で「投資にまわす余裕がない」人でも、つみたて投資枠であれば、毎月1,000円といった少額からでも始められます。
まずは、家計状況の確認と、今後のライフイベントを想定し、「毎月いくら投資にまわせそうか」「どのような目的のためにNISAを活用するか」を考えてみましょう。
40代|夫婦での資産形成をするならつみたて投資枠
40代は、住宅やマイカーの購入費用、お子様の進学費用など、さまざまな場面でお金がかかる年代です。
30代と同様、日常的にお金がかかる年代には、少額投資を続けられるつみたて投資枠が向いています。つみたて投資枠は長期投資を前提にしているため、今から始めれば老後のための資金を十分確保できる可能性があります。
さらに、可能であれば、夫婦でNISAを活用することも検討しましょう。夫婦でNISAを活用できれば、非課税で運用できる金額が2倍になります。また、投資する国や資産が異なれば、分散投資によりリスクを軽減できる可能性も高くなります。
50代|各種ローンを払い終わり投資資金に余裕が出そうなら成長投資枠
50代は、他の年代と比べて収入が高い年代といえます。さらに、子どもが自立すれば、金銭的な余裕が出てくる家庭もあるでしょう。
金銭的な余裕がある場合は、成長投資枠を活用してまとまった資金を投資するのもよいでしょう。
つみたて投資枠では一括投資ができず、最大でも毎月10万円までしか投資できません。
一方で、成長投資枠の年間投資枠は240万円と、つみたて投資枠の年間投資枠よりも大きく、一括投資ができます。
非課税枠を無理に使いきる必要はありませんが、まとまった資金を投資に使える場合は、成長投資枠を活用するとよいでしょう。
成長投資枠では積立投資もできるため、毎月20万円などつみたて投資枠で積立設定できる金額以上を設定することも可能です。
なお、50代に、つみたて投資枠が必ずしも向いていないわけではありません。
つみたて投資枠は、複利効果を活かして、長期間で資産を形成するために有効な投資手法です。老後資金に備えて活用する場合は、有効といえるでしょう。
つみたて投資枠を活用する場合は「何年積み立てて、何歳までにいくら積み立てるか」をシミュレーションしておきましょう。
60代以降|退職金などまとまった金額があるなら成長投資枠
定年退職を控えた方は、退職金の運用に悩むかもしれません。成長投資枠を活用して、退職金などのまとまった資金を一括で投資する場合は、ご自身の経験やリスク許容度を踏まえて、慎重に分散投資を行いましょう。
つみたて投資枠を活用する場合は「何年積み立てて、何歳までにいくら積み立てるか」をシミュレーションしておきましょう。
NISAで投資を始める前に知っておきたいこと
特に投資を始めたばかり、あるいは始めようとしている方は、次のポイントを押さえておきましょう。
NISAで投資を始める前に知っておきたいこと
- 元本割れのリスクは長期運用でリスクを軽減できる
- 生活に影響が出にくい少額からスタートできる
- 年間投資枠を使い切る必要はない
投資は、あくまでも将来に備えるために資産を活用する手段として捉えることが大切です。今の自分が困らない範囲で投資を続けることが、将来にも役立つでしょう。
元本割れのリスクは長期運用でリスクを軽減できる
投資には、基準価額(投資信託の値段)が投資した金額を下回る元本割れのリスクがあります。NISAのつみたて投資枠や成長投資枠を活用した投資にも、元本割れする可能性はあることを理解しておきましょう。
ただし、つみたて投資枠を活用すれば、リスクを軽減しながら資産を築ける可能性があります。
つみたて投資枠は、長い期間をかけて、定期的に投資信託を購入し続けていく投資方法です。投資期間が長いほど元利(元本+利益)に利益が発生する複利効果が期待でき、平均的な購入金額を安くできる可能性があります。
たとえ短期間で元本割れしたとしても、焦って売却せず、投資し続けることで、利益を得られる可能性があります。
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生活に影響が出にくい少額からスタートできる
投資というと、多くの資金を動かすイメージがあるかもしれません。しかし、NISAのつみたて投資枠なら、毎月1,000円といった少額から投資を始められます。
毎月1,000円であれば、家計に大きな影響を与えることなく始めやすいのではないでしょうか。
つみたて投資枠を活用して長期投資すれば、複利効果で効率よく運用できるため、少額でも長く続けていけば資産を増やせる可能性があります。
なお、積立金額はあとから増やせます。収入が増えたり家計を見直したりして金銭的に余裕が出たときは、毎月の積立金額を増額するのもよいでしょう。
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年間投資枠を使い切る必要はない
つみたて投資枠、成長投資枠のそれぞれの年間投資枠は、使い切る必要はありません。生活に支障が出ないよう、無理のない範囲で投資を始めましょう。
ただし、使いきれなかった非課税枠を翌年以降に持ち越せないことを押さえておく必要があります。
なお、つみたて投資枠と成長投資枠を併用すれば、年間で最大360万円まで投資できます。年間360万円を超えて投資したい場合は、NISA口座ではなく一般口座や特定口座といった課税口座での運用となり、得られた利益には税金がかかることに注意が必要です。
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マネプラスのアプリで口座開設ができる!
マネプラスでも、新NISAの口座を開設できます。
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「自分はつみたて投資枠と成長投資枠のどちらが向いているか」などの不安がある方は、マネプラスのお近くの店舗へお越しください。
NISAに関するよくある質問
Q.つみたて投資枠と成長投資枠、どちらが得ですか?
A.
人によってライフスタイルや家族構成、投資できる金額、投資の目的などが異なるため、どちらが得かを判断することは難しいでしょう。
NISAを始めてみたい場合は、年代別の特徴を判断基準にするのも手段のひとつです。
「【年代別】つみたて投資枠と成長投資枠どちらが得なのか」では、年代別にどちらの非課税枠が向いているかを詳しく解説しています。
Q.つみたて投資枠と成長投資枠の両方で投資できますか?
A.
可能です。
2024年1月から導入された新NISAでは、つみたて投資枠(旧つみたてNISA)と成長投資枠(旧一般NISA)を併用できるようになりました。
「つみたて投資枠で毎月◯円積み立てながら、成長投資枠で気になる株式を購入する」といったことも可能です。
Q.30代ですがつみたて投資枠と成長投資枠どちらが向いていますか?
A.
20代から30代にかけては、結婚や出産・子育てなどさまざまなライフイベントが発生しやすい年代でしょう。大きな出費も想定されますが、つみたて投資枠(旧つみたてNISA)であれば、毎月1,000円といった少額から続けられるため、「日常的にお金が必要で投資する余裕がない」人でも始めやすいでしょう。
監修者コメント
新NISAは年間投資枠があり、持ち越すことができません。しかし非課税投資期間が無期限なので、あせらずご自身のできる金額で投資を始めてみましょう。時間を味方につければ、少しずつ資産は増えていきます。