NISAで配当金を受け取るとどうなる?非課税で受け取る方法や注意点

更新日:2024/07/10
NISAで配当金を受け取るとどうなる?非課税で受け取る方法や注意点

配当金とは、企業が株主に還元するお金のことです。NISAでも成長投資枠を活用すれば株式投資ができるため、配当金を受け取れる場合があります。受け取った配当金には、基本的に税金がかかりません。

ただし、配当金の受取方式によっては、配当金に税金がかかる場合があります。NISAは非課税制度ですが、上場株式を運用して配当金を受け取る場合は、注意が必要です。

NISAで運用して得られた配当金が非課税となる受取方式や、受取方式を変更する際の注意点、配当金を受け取りながらNISAを活用する方法を解説します。

この記事で分かること
  • NISAは成長投資枠を利用すれば上場株式に投資できます。
  • NISAを利用すれば、配当金などにも原則税金がかかりません。
  • ただし、配当金などを非課税で受け取るには受取方式を「株式数比例配分方式」にする必要があります。

目次

OPEN

NISAにおける配当金とは?

配当金とは、企業が株主に還元するお金のことです。

NISAでも、成長投資枠を利用すれば上場株式へ投資できるため、配当金が支払われる場合もあります。

配当金がある場合は、年1回(本決算)または年2回(本決算+中間決算)支払う企業が多く、受け取れる金額は持ち株数によって異なります。

ただし、配当金は株式を購入すれば必ず受け取れるわけではありません。利益が出ても株主に配当を支払わない場合、利益が無くても支払われる場合など、企業によってさまざまです。

NISAで得た配当金は非課税になる

通常、株式投資で得た配当金などには、20.315%の税金がかかりますが、NISA口座での運用で得られた配当金などに対しては、原則税金がかかりません。

株式は、NISA口座とは別に、運用によって得られた利益に税金がかかる課税口座(特定口座や一般口座)でも投資できます。ただし、課税口座で運用して得られた配当金が1万円だったとしても、受け取れるお金は約8,000円となります。

一方、非課税口座であるNISA口座で運用していた場合は、税金がかからないため、1万円をそのまま受け取ることが可能です。

NISAで得た配当金は非課税になる

ただし、NISA口座でも配当金の受取方式によっては課税される場合があります。株式の配当金を非課税で受け取るには、「株式数比例配分方式」を選択しなければなりません。

詳しくは「NISAの配当金の受取方式と課税されるケース」で解説しています。

配当金と分配金の違い

配当金と似た言葉に「分配金」があることを理解しておきましょう。NISA口座で運用できる商品のなかには、分配金を受け取れるものもあります。

配当金と分配金は、次の図のとおり「誰がお金を還元するか」が異なります。

配当金と分配金の違い

配当金は、株式を発行している企業が株主に還元するお金であり、年1回(本決算)または年2回(本決算+中間決算)支払われるのが一般的です。

一方、分配金は、投資信託の運用会社が投資家に還元するお金であり、決算時に支払われるのが一般的です。

分配金も配当金と同様に、必ず受け取れるわけではなく、運用状況や運用実績によって、支払有無や金額が変わります。また、分配金を支払わない投資信託もあります。

NISAの配当金の受取方式と課税されるケース

非課税であるNISA口座で上場株式を運用していても、受取方式によっては、配当金に税金がかかるケースとかからないケースがあります。

  • 株式数比例配分方式:非課税になる
  • その他の方式:課税される

株式数比例配分方式:非課税になる

配当金の受取方式を「株式数比例配分方式」にしていれば、NISAで運用している上場株式の配当金やETF・REITの分配金に税金がかかりません。

株式数比例配分方式とは、証券会社の口座で受け取る方法です。

NISA口座の配当金や分配金を、株式数比例配分方式で受け取るように設定すると、他の証券口座の受取方式も株式数比例配分方式に変更されます。そのため、複数の証券会社で上場株式などを保有している場合は、上場株式などを預けている数量に応じて、それぞれの口座に配当金などが自動的に入金されます。

一度手続きをすれば、お金を受け取るために銀行に行ったり、受取期限を気にしたりする必要がありません。

その他の方式:課税される

配当金や分配金の受取方式は、株式数比例分配方式の他に、次の3つがあります。

配当金や分配金の受取方式

これらの受取方式を選ぶと、配当金に対して20.315%の税金がかかるため、注意が必要です。

なお、配当金の受取方式を指定しない場合は、配当金領収証方式に設定されます。

NISAの配当金を確認する方法

配当金は「配当金のお知らせ」や「配当金計算書」で確認できます。

配当金の受取方式を株式数比例配分方式にしている場合は、証券口座のマイページなどからも確認できます。

その他の受取方式は、「配当金領収証」や指定口座の入金履歴などから確認が可能です。

NISAの配当金を確認する方法

NISAの配当金を非課税で受け取る方法

NISAの配当金を非課税にするには、保有銘柄の配当基準日までに、受取方式を「株式数比例配分方式」に設定する必要があります。

保有銘柄の配当基準日は、企業のWEBサイトなどで確認できます。

受取方式の設定・変更の手順は、金融機関により異なりますが、おもに次のとおりです。

  1. 金融機関のマイページにログインする
  2. 口座管理画面を開く
  3. 配当金の受取方式を「株式数比例配分方式」に変更する

株式数比例配分方式以外の受取方式を選ぶと、課税されてしまうため注意しましょう。

監修者コメント

金子賢司(かねこけんじ)

特に長期で配当金目的の投資をしていく場合、課税か非課税かで大きな差が出ます。株式数比例配分方式になっているか必ず確認してください。

NISAの配当金はいつもらえる?

配当金を受け取れる時期は、企業の決算期により異なりますが、保有している金融商品の配当基準日の約2~3ヵ月後が一般的です。

配当金を受け取るには、権利確定日に企業の株式を保有している必要があります。

NISAの配当金の受取方式を変更する際の注意点

NISA口座の配当金受取方式を変更する前に、次の2つの注意点を押さえておきましょう。

  • 他の証券口座の受取方式も変更される
  • 外国株式は「株式数比例配分方式」でも課税される

他の証券口座の受取方式も変更される

配当金の受取方式は、証券保管振替機構(ほふり)で一括管理されています。

そのため、NISAの配当金の受取方式を「株式数比例配分方式」に変更すると、他の証券口座で保有しているすべての株式の配当金などの受取方式も、自動的に「株式数比例配分方式」に変更されます。

NISAの配当金を「株式数比例配分方式」、課税口座の配当金は「登録配当金受領口座方式」などと証券会社や銘柄ごとに受取方式を指定できません。

外国株式は「株式数比例配分方式」でも課税される

外国株式を保有している場合は、受取方式を「株式数比例配分方式」に設定していても、配当金に税金がかかります。

ただし、かかっているのは外国税(10%)です。NISAは日本国内の制度であるため、外国税は受取方式に関係なく課税されてしまいます。

課税口座での運用であれば、外国税と国内税で二重課税となってしまうため、確定申告で「外国税額控除」を適用すれば源泉徴収されていた外国税分を控除できます。しかし、NISAは国内税がかからず二重課税とはならないため、外国税額控除を活用できません。

配当金を受け取りながらNISAを活用する方法

配当金を受け取りながらNISAを活用する方法は、次のとおりです。

  • 受け取った配当金で追加購入する
  • 成長投資枠とつみたて投資枠を併用する

受け取った配当金で追加購入する

NISA口座で受け取った配当金は、出金して現金として利用できますが、出金せず追加購入資金にすることも可能です。再投資することで、より効率的に資産を増やせる可能性があります。

ただし、NISA口座で再投資を行うと、その年の非課税枠を使って投資することになるため注意が必要です。

成長投資枠とつみたて投資枠を併用する

2024年1月に始まった新しいNISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できるようになりました。

成長投資枠では株式投資ができます。そのため、成長投資枠で株式を運用して配当金を受け取り、つみたて投資枠で長期的な資産形成するなど、異なる投資方法を組み合わせた運用もできます。

さらに、NISAの非課税保有限度額は1,800万円ですが、成長投資枠のみの非課税保有限度額は1,200万円です。成長投資枠のみの運用では非課税保有限度額を最大限活用できないため、つみたて投資枠もうまく活用するとよいでしょう。

NISA口座の開設はマネプラスへ

マネプラスではNISA口座を開設でき、つみたて投資枠や成長投資枠を利用した非課税投資を始められます。

店舗で口座開設を申し込めるのはもちろんのこと、「京銀アプリ」を利用すれば、来店不要で口座の開設からお取引までアプリで完結するため便利です。

さらに、「土・日ご相談プラザ」&「土曜ご相談プラザ」では、資産運用や保険・ローンなどお金の相談会を実施しています。アプリで口座開設できるだけでなく、対面でお金のプロに相談できます。

NISAを含めてお金の不安がある方は、ぜひお近くのマネプラスへお越しください。

選べる2つの開設方法

NISAの配当金に関するよくある質問

Q.NISAで配当金はもらえますか?

A.

NISA口座で株式に投資していた場合は、配当金を受け取れる可能性があります。

Q.NISAの配当金はどうやって受け取るのですか?

A.

配当金の受取方式を「株式数比例配分方式」に設定すれば、配当金が発生した際に自動的に証券口座に振り込まれます。

Q.NISAの配当金は現金化できますか?

A.

配当金を証券口座で受け取った場合は、銀行口座への出金手続きを行うことで現金化して引き出せます。証券口座から直接現金を引き出すことはできないので注意しましょう。

Q.NISAで配当金を受け取る際に課税されたのはなぜですか?

A.

「株式数比例配分方式」以外の受取方式にしていると、配当金に税金がかかります。

Q.NISAで配当金を受け取った場合、確定申告は必要ですか?

A.

NISAで受け取った配当金は基本的に確定申告する必要はありません。

しかし、「株式数比例配分方式」以外で配当金を受け取った場合は配当金に税金がかかってしまっているため、確定申告すれば配当控除や課税口座との損益通算、繰越控除を活用できます。

監修者コメント

金子賢司(かねこけんじ)

必ず受け取れるわけではありませんが、配当金は比較的安定したリターンが得られる投資方法です。ただし株価が大きく下がり元本割れするリスクがあるため、余剰資金の範囲内で行うようにしてください。