つみたて投資枠の複利の仕組みを解説。設定方法や効果のシミュレーションも紹介
複利とは元利(元本+利益)に利益が発生する仕組みのことです。つみたて投資枠を活用して長期間積立投資を続ければ、複利効果を得られ、資産増加を期待できます。
ただし、複利効果を実感するまでには長い時間がかかり、積立金額が極端に少額だと、数年、数十年先も複利効果を実感しにくい可能性もあります。
複利の意味や仕組み、複利効果を実感するための心構えを押さえておきましょう。
- 複利とは元利(元本+利益)に利益が発生する仕組みのこと
- つみたて投資枠においては、分配金を再投資し続けることで複利効果を得られる可能性がある
- 少額でも長期間の積立・分配金再投資することで、資産を大きく増やせる可能性がある
目次
OPEN複利とは元利(元本+利益)に利益が発生する仕組みのこと
複利効果とは、元利(元本+利益)に利益が発生する仕組みのことです。
たとえば、100万円を年10%の利回りで運用でき、1年後に10万円の利益を得た場合、翌年は元本+利益の110万円に対して利益を得られることになります。その後も同じ利回りで運用できれば、2年目には110万円に対して10%の11万円、3年目には121万円に対して12万円の利益を得られます。
翌年以降も元本と利益両方に利益が発生するため、効率よく資産を増やせる可能性があります。
つみたて投資枠を使うと資産形成が期待できるのは、この複利効果もひとつの要因です。
なお、複利効果を得られるのは、つみたて投資枠を活用した投資だけではありません。NISAを利用しない場合の投資・運用や定期預金などでも、複利効果を得られる可能性があります。
単利の意味と違い
単利とは、元本のみに対して利益を得られることです。
たとえば、100万円を投資して年10%の利回りで運用した場合、1年後に10万円の利益を得られます。再投資せずに同じ利回りで運用し続けた場合、毎年10万円の利益は受け取れますが、元本は100万円のままのため、再投資により複利効果を得続ける場合と比べると資産が増えにくいといえます。
つみたて投資枠で分配金を再投資するほうがよい理由
つみたて投資枠では、分配金を「再投資するコース」と「受け取るコース」の2つのコースから選択できます。このとき、再投資するコースを選択することで、複利効果を得ることが可能です。
なお、投資信託のなかには、受取方法を選択できないものもあります。
長期運用でより大きな利益が期待できる
複利効果は、長期運用するほど大きな利益を期待できます。
最初の数年だけでは、複利効果を感じにくいかもしれません。しかし、長期間で運用するほど利益を再投資した元本が増え、複利効果により資産の増加を感じやすくなります。
つみたて投資枠は、おもに将来のために資産を形成したい方に向いている制度です。10年、20年先に向けて利益を得たい方は、分配金を受け取るのではなく、再投資を選択しましょう。
新NISAは非課税保有期間が無期限化した
旧NISAではつみたてNISAの非課税保有期間20年が最長でしたが、2024年1月からの新NISAでは、非課税保有期間が無期限化されました。これにより、30年、40年といった長期的な運用も可能です。
長期運用するほど複利効果を期待できるため、将来に向けて効率的に資産を形成するには、分配金を受け取るのではなく、再投資することが重要です。
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監修者コメント
定期的に収入が得られるため、分配金を受け取るメリットもあります。自身の投資目的に応じてどちらが良いか検討しましょう。
つみたて投資枠の再投資はいつ行われる?
再投資は、分配金が支払われたタイミングで行われます。再投資の頻度は銘柄によって異なり、一般的に、年1回から2回の頻度で再投資され、そのタイミングで運用益が元本に含まれます。
具体的な再投資タイミングは、目論見書や証券会社のWEBサイト上の「決算日」で確認できます。
再投資コースを選択していれば自動的に再投資が行われるため、手続きする必要はありません。
再投資を行わない場合は分配金を受け取れる
分配金を再投資しない場合は、現金として受け取ることも可能です。分配金を受け取れば、定期的に現金収入を得られます。
ただし、将来に向けて資産を形成したい場合、分配金を再投資しながら長期運用したほうが資産を増やせる可能性があります。
なお、分配金がないタイプの投資信託では、分配金を受け取れません。
つみたて投資枠の複利効果をシミュレーション
金融庁の資産運用シミュレーションを使って、次の2パターンでシミュレーションした結果を紹介します。
- 毎月1万円で想定利回り5%の例
- 毎月5,000円で想定利回り5%の例
なお、このシミュレーションでは、年1回の複利で計算しています。
毎月1万円で想定利回り5%の例
毎月1万円を年5%の利回りで20年間積み立てた場合のシミュレーション結果は、次のとおりです。
運用収益:約171万円
運用資産:約411万円
※あくまでもシミュレーションの結果であり、実際の運用成果は異なります。
積み立てるだけでは240万円のみの資産が、20年間積立・運用することで複利効果を得て、資産を増やせる可能性があります。
毎月5,000円で想定利回り5%の例
毎月5,000円を年5%の利回りで20年間積み立てた場合のシミュレーション結果は、次のとおりです。
運用収益:約86万円
運用資産:約206万円
※あくまでもシミュレーションの結果であり、実際の運用成果は異なります。
毎月5,000円と控えめな金額であっても、20年間積立・運用を行うことで複利効果を得て、資産を増やせる可能性があります。
つみたて投資枠で複利効果を感じられない理由とは?
つみたて投資枠で複利効果を感じられない場合、次の理由が考えられます
まだ数年間しか運用していない
つみたて投資枠は、長期間の積立投資により複利効果を得られ、資産を効率的に形成できる可能性がある投資手法です。
そのため、つみたて投資枠を始めてまだ2、3年などと短期間では、複利の効果を感じにくいかもしれません。10年以上など長期間投資を継続するほど、より大きな複利の効果を実感できるでしょう。
短期間で売却した
短期間で売却した場合も、複利効果を感じにくいでしょう。
売却すると、これまで積み上げてきた元本と利益を手放してしまうことになります。
特に投資初心者の方の場合、基準価額の値動きに不安があるかもしれません。しかし、少しの変動や元本割れであれば、売却せずに保有し続けることが大切です。
たとえ元本割れしたタイミングがあったとしても、その後基準価額が上がる可能性があります。売却して損失を確定しなければ、実質的に損することはありません。
なお、どうしても価格変動に動揺してしまう場合は、積立金額がご自身にとって大きすぎる可能性も考えられます。
つみたて投資枠に限らず、投資は余剰資金で行うことが大切です。一度家計を見直し、ご自身にあった積立金額を設定しましょう。
積立金額が極端に少ない
シミュレーションで説明したように、少額でも長期間積立投資し続ければ大きな利益を期待できるのがつみたて投資枠です。
しかし、毎月の積立金額が極端に少ない場合は、その分複利の効果を感じにくいこともあるでしょう。
より大きな複利効果を感じたい場合は、無理のない範囲で毎月の積立金額を増やすのも手段のひとつです。積立金額は、ご自身の好きなタイミングで変更できるため、金融機関の設定範囲内で設定金額を増やしてみましょう。
成長が期待できない銘柄に投資している
評価損益がずっとマイナス、または上昇しない銘柄の場合は、複利効果をあまり期待できません。
ただ、その銘柄の基準価額が今後どう動くかは、誰にも予想はできないため、いつ手放すべきか、このまま保有し続けるべきかの判断は難しいところです。
より複利効果を得たい場合は、損失を覚悟して商品を売却し、成長が期待できる商品に買い替えたり、一度その銘柄の積立を止めて、異なる商品を積み立てたりするなどの手段をとることも考えましょう。
つみたて投資枠は長期運用をすることで複利の効果を感じやすい
マネプラスでは、マイナンバーカードまたは通知カードと運転免許証があれば、銀行へ来店不要で「京銀アプリ」にて口座を開設できます。口座開設後は、見やすく使いやすいアプリでの取引も可能です。つみたて投資枠でできるだけ長く積立投資をして複利効果を得るためにも、なるべく早く口座開設し、少額からでも積立を開始しましょう。
なお、NISAに疑問や不安がある方は、直接相談できる金融機関での口座開設がおすすめです。
マネプラスでは、店舗にて資産運用や保険、各種ローンなどの相談が可能です。平日お忙しい方は、土曜日・日曜日に相談可能な「土・日ご相談プラザ」&「土曜ご相談プラザ」もあわせてご活用ください。
つみたて投資枠の複利効果に関するよくある質問
Q.つみたて投資枠の複利とはどのようなものですか?
A.
複利とは、元利(元本+利益)に利益が発生する仕組みのことです。
つみたて投資枠の運用によって得た利益を再投資することで複利効果が得られ、効率的に資産を増やせる可能性があります。
詳しくは「複利とは元利(元本+利益)に利益が発生する仕組みのこと」で紹介しています。
Q.つみたて投資枠の複利効果はいつから感じられますか?
A.
具体的にいつごろからつみたて投資枠の複利効果を感じられるかは、積立商品や積立金額、積立期間などのさまざまな条件によって異なります。
複利効果は、短期間では感じにくいため、まずは5年、10年など長期間の投資・運用を継続しましょう。
「つみたて投資枠の複利効果をシミュレーション」もあわせて参考にしてください。
Q.つみたて投資枠で分配金が再投資されるのはいつですか?
A.
銘柄により異なりますが、年1~2回のタイミングで分配金が分配され、再投資されます。具体的なタイミングは目論見書や証券会社のWEBサイト上の「決算日」を確認しましょう。
なお、投資信託によっては、分配金がない銘柄もあります。
監修者コメント
長期投資をすると決めたのに、投資初心者はわずかに利益が出たり、損失が出たりしただけで売却してしまいがちです。短期間の値動きで一喜一憂しないために、投資をする前に目的を明確にしておくことが大切です。