投資信託とETFの違いとは?メリットや向いている人もわかりやすく解説

更新日:2024/09/10
投資信託とETFの違いとは?メリットや向いている人もわかりやすく解説

投資信託とETFの違いがよくわからない方もいるかもしれません。ETFと投資信託の大きな違いは、上場しているかどうかです。投資信託は上場していないため証券取引所で取引できませんが、ETFは上場しているため証券取引所で取引できます。

それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解しておくことで、投資方法を選択する際に役立つでしょう。投資信託とETFの違いを解説します。

この記事で分かること
  • 投資信託とETFの違い
  • 投資信託とETFのメリット・デメリット
  • 投資信託とETFのどちらを選ぶべきか

目次

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投資信託とは

投資信託とは、複数の投資家から資金を集め、運用の専門家(ファンドマネージャー)が株式や債券といったさまざまな投資対象に分散して投資する金融商品です。投資信託は「ファンド」とも呼ばれ、複数の投資家でお金を出し合って運用するため、少額でも投資を始められるのが特徴です。

ETF(上場投資信託)とは

ETFとは「Exchange Traded Fund」の頭文字を取ったもので、証券取引所に上場し、株価指数などに代表される指標への連動を目指す投資信託のことです。ETFも投資信託の一種ではありますが、株式のように証券取引所で売買できる点が通常の投資信託と異なります。

投資信託とETFの違いを比較

投資信託とETFの大きな違いは、「上場しているか、していないか」です。その他の一般的な違いは以下の通りです。

投資信託とetfの違い

購入できる場所

  • 投資信託:証券会社、銀行、郵便局など
  • ETF:証券会社

投資信託は証券会社をはじめ、銀行や郵便局などの販売会社を通じて購入できます。窓口はもちろん、オンラインで購入することも可能です。

一方で、ETFは証券取引所に上場しており、証券会社の窓口かオンラインで購入できます。投資信託と比べると、購入できる場所が限定されます。

購入価格の決まり方

  • 投資信託:1日1回、1口当たりの基準価額が計算される
  • ETF:リアルタイムで市場価格が決められる

投資信託とETFでは、購入価格の決まり方や価格の決まるタイミングが異なります。投資信託は、1日1回ファンドが保有している資産の時価評価から、費用を差し引くなどして基準価額が算出されます。基準価額が公表されるのは、投資信託の取引の申込を締め切った後のため、投資家は当日の基準価額がわからない状況で取引を行います。

一方で、ETFは上場しているため、株式のように取引時間内は1分1秒単位で市場価格が変動します。リアルタイムで注文できるため、希望する価格になったタイミングでの売買が可能です。

注文方法

  • 投資信託:販売会社を通じて口数指定か金額指定で注文
  • ETF:証券取引所を通じて口数指定かつ指値や成行で注文

投資信託を購入する際は、口数もしくは金額を指定して注文します。

口数指定で注文すると、基準価額によっては購入金額が高くなってしまう可能性もあります。一方、金額指定は、購入した口数を申込時に把握することはできません。

先述したとおり、投資信託の基準価額は、注文した時点では決まっていません。投資信託の売買は「申込→約定→受渡」という流れで行われます。約定とは売買が成立することで、約定するまで何円分購入できたか、何口分購入できたかはわかりません。

なお、販売会社によっては、「口数指定」と「金額指定」のどちらかしか取り扱いのないこともあるので、事前に確認しましょう。

一方、ETFは口数を指定して注文しますが、投資信託と異なりリアルタイムでの取引が可能です。ご自身で「この価格になったら買いたい(売りたい)」と価格を決めて売買する「指値(さしね)注文」か、売買の成立を優先させる「成行(なりゆき)注文」で取引します。

投資信託とETFの注文方法の違い

運用コスト

投資信託、ETFともに「購入時」「運用中」「売却時」に手数料がかかる場合があります。なかでも、運用中にかかる手数料は運用成果に大きく影響します。手数料は販売会社や商品によって異なるため、目論見書で確認しておきましょう。

購入時にかかる費用

  • 投資信託:購入時手数料
  • ETF:売買手数料

投資信託は「購入時手数料」、ETFは「売買手数料」として、購入時に手数料が必要な場合があります。投資信託の購入時手数料は商品によって異なり、目論見書に上限が定められています。上限の範囲内であれば販売会社が自由に定めることができ、申込金額に対して約1~3%程度が相場です。ただし、NISAのつみたて投資枠対象の投資信託は、すべて購入時手数料がかからない「ノーロード商品」となっています。

ETFは、約定金額に応じて各金融機関の定める売買手数料がかかります。金融機関によっては、ETFの取引手数料がかからないこともあるので確認しておきましょう。

運用中にかかる費用

  • 投資信託:信託報酬
  • ETF:信託報酬

投資信託もETFも、商品を保有している期間は「信託報酬」と呼ばれる運用管理手数料がかかります。信託報酬とは、商品を保有している間、保有額に応じて日々支払う費用のことです。年率でいくら支払うかは、目論見書などに記載されています。

投資信託とETFでは、一般的にETFのほうが信託報酬が低い傾向にあります。

売却時にかかる費用

  • 投資信託:信託財産留保額
  • ETF:売買手数料

投資信託によっては、売却時に「信託財産留保額」と呼ばれる費用が発生することがあります。ファンドを解約する際、手数料とは別に徴収される費用のことで、販売会社が受け取るのではなく信託財産に留保されます。

ETFは、購入時と同様に売買手数料が必要なことがあります。約定金額をもとに、金融機関の定める取引手数料を支払います。

銘柄の数

投資信託のなかでも、公募投信と呼ばれる一般的な銘柄は約6,000本あります。一方で、ETFは約300本程度となっており、銘柄数は投資信託のほうが圧倒的に多いです。
※参考:一般社団法人投資信託協会「投資信託の全体像(純資産総額・ファンド本数)直近データのバックナンバー」
2024年7月執筆時点

ただし、これらすべての商品を1つの金融機関で取り扱っているというわけではありません。金融機関ごとに、取り扱っている商品は異なることを理解しておきましょう。

分配金の再投資

  • 投資信託:再投資型・受取型を選択できる
  • ETF:再投資はできない

投資信託やETFのなかには、年に数回、分配金を受け取れる商品があります。投資信託の場合、分配金を現金で受け取ることも、同じ商品の購入資金に利用する「再投資」を選ぶことも可能です。

ETFは自動で再投資することはできず、分配金が発生した場合はすべて現金で受け取ります。ETFの分配金を再投資するには、一度受け取った分配金で新規買付をする必要があります。

信用取引の可否

  • 投資信託:できない
  • ETF:できる
信用取引

金融商品の取引方法はおもに「現物取引」と「信用取引」の2種類があります。現物取引とは、現金と株式などを受け渡して行う基本の取引のことです。一方、信用取引とは、現金や金融商品を担保として証券会社に差し出し、証券会社から資金や株式を借りて売買を行う取引です。

投資信託は信用取引の対象となっていませんが、ETFは株式のように信用取引を行えます。

監修者コメント

金子賢司(かねこけんじ)

ETFも分散投資効果があり、比較的運用リスクを抑えられる仕組みなので、投資初心者の方に向いている金融商品です。

投資信託とETFのメリット・デメリット

投資信託とETFはメリットやデメリットが異なります。それぞれ確認していきましょう。

投資信託のメリット

  • 手間をかけずに運用できる
  • 分配金を自動で再投資できる
  • 銘柄数や種類が豊富

NISAのつみたて投資枠がいい例ですが、投資信託は多くの金融機関で積立購入が可能です。そのため、一度商品と金額を設定すればその後は自動で注文され、手間をかけずに運用できます。分配金の再投資も自動で行えるため、効率よく資産運用が可能です。

金融機関によって取り扱い商品は異なりますが、商品の種類が豊富で、ご自身の投資目標に合わせた商品選びができるのも魅力の1つです。

投資信託のデメリット

  • 運用コストはETFよりも高い傾向にある
  • リアルタイムでの取引ができない

投資信託はETFよりもコストが高くなる傾向があります。一部の商品では運用成果を高めるために組み入れ銘柄の入れ替えを定期的に行ったり、プロが銘柄を選定して運用を行ったりするためです。

また、上場していないためリアルタイムでの取引ができません。注文時には約定される基準価額がわからない点も、デメリットに感じる方もいるでしょう。

ETFのメリット

  • リアルタイムで注文できる
  • 運用コストが低い

ETFはリアルタイムで値動きを確認して注文することが可能です。価格が下がったタイミングで購入したり、価格が上がったタイミングで売却できます。

また、ETFは販売会社を介さずに取引を行うため、投資信託よりもコストを抑えて運用できるのも大きなメリットといえます。

ETFのデメリット

  • 自動積立設定はできないことが多い
  • 分配金の自動再投資ができない

金融機関にもよりますが、ETFは自動積立設定ができないことが多く、分配金の自動再投資もできません。分配金を再投資したい場合は、ご自身で分配金を利用して同じETFを購入するか、証券会社のMRF(マネー・リザーブ・ファンド)に分配金をプールしておき、相場が下がったタイミングで購入するなどの方法をとる必要があります。

投資信託とETFはどちらを選ぶべき?

投資信託とETF、どちらを選べばよいか悩む方もいるでしょう。それぞれの特徴を確認し、どちらの商品が合っているかを判断する参考にしてください。

投資信託とetfはどちらを選ぶべき?

投資信託が向いている人:投資初心者・長期的にコツコツ運用したい

投資信託は投資のプロが運用する金融商品で、さまざまな投資対象に分散投資が可能です。また、複数の投資家から資金を集めて運用するため、少額からでも投資ができ、初心者の方にとっても始めやすいといえます。

自動積立が可能な金融機関も多く、手間をかけずに長期的な運用も可能です。少額から少しずつ投資に慣れていきたい方は、投資信託から始めてみるのもいいでしょう。

ETFが向いている人:コストを抑えて自由度の高い投資がしたい

ETFも投資信託と同様に1つの商品で分散投資が可能ですが、基本的には指数に連動することをめざした銘柄構成です。したがって、投資信託よりもコストを抑えた運用が可能です。

リアルタイムで注文できるため、日々の値動きを確認してご自身のタイミングで購入したい方には向いているといえます。リスクも伴いますが、ETFは信用取引の対象でもあるため、より高いリターンを狙った投資をすることもできます。

新NISA口座でも投資信託・ETFを購入できる

2024年1月から始まった新NISAでは、つみたて投資枠・成長投資枠の両方で投資信託とETFの取引ができます。

通常、投資信託やETFの売却益や分配金には20.315%の税金がかかります。しかし、NISA口座内で取引した投資信託、ETFで得た利益は非課税です。

また、新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠は併用できます。

たとえば、つみたて投資枠で投資信託の自動積立を行いながら、成長投資枠で投資信託やETFを一括購入するといった運用も可能です。投資できる銘柄や金額には限りがありますが、非課税で運用ができるNISA制度を活用すれば、より効率的に資産を増やせる可能性があります。

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投資・資産運用の相談はマネプラスへ

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投資信託とETFの違いに関するよくある質問

Q.投資信託とETFの違いは何ですか?

A.

投資信託とETFの最も大きな違いは「上場しているかどうか」です。投資信託は上場しておらず、証券会社だけではなく銀行や郵便局でも取引できます。


一方で、ETFは上場投資信託とも呼ばれているとおり、証券取引所に上場しているため証券会社でしか取引できません。


投資信託とETFの違いを比較

Q.新NISAでは投資信託とETFのどちらがおすすめですか?

A.

投資信託とETFはどちらも複数の投資対象に分散投資ができますが、投資方法やコストに違いがあります。自動積立が可能で、分配金も自動で再投資できるため、手間をかけずに運用したい方には投資信託がおすすめです。運用にかかわるコストを抑えたい方は、ETFが向いています。

Q.新NISAでETFは買えますか?

A.

新NISAのつみたて投資枠、成長投資枠のいずれもETFに投資することが可能です。ただし、すべてのETFが取引可能というわけではなく、あくまでNISAの対象となっている商品に限られます。


また、受け取った分配金を自動で再投資することはできず、再投資したい場合はご自身で同じ商品を購入する必要があります。

Q.投資信託やETFに配当金はありますか?

A.

投資信託やETFは、運用成果に応じて定期的に保有者に収益が還元されることがあります。これは配当金ではなく「分配金」と呼ばれるものです。


投資信託は分配金を受け取るか、同じ商品に再投資するかを選べることがあります。一方、ETFは自動で再投資はできません。再投資するには、いったん受け取った分配金で新規買付をする必要があります。

監修者コメント

金子賢司(かねこけんじ)

NISAの対象商品になっている投資信託やETFなら、分配金も非課税で受け取れます。安定したリターンが期待できますが、運用成果によっては支払われない場合もあるため注意が必要です。