つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は元本割れする?リスクを軽減する方法や対処法

更新日:2024/04/30
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は元本割れする?リスクを軽減する方法や対処法

投資には、投資した金額を下回る元本割れリスクがあります。つみたて投資枠(旧つみたてNISA)を活用した「つみたて投資」にも、元本割れする可能性があります。

ただし、つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は、長く続けるほど元本割れなどのリスクを抑えて資産を増やせる可能性があります。

本記事では、つみたて投資枠(旧つみたてNISA)で元本割れなどのリスクを抑える方法や、元本割れしたときの対処法を解説します。元本割れ以外のデメリットもあわせて理解したうえで、つみたて投資を始めましょう。

この記事で分かること
  • つみたて投資枠(旧つみたてNISA)にも、元本割れリスクはある
  • つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は、一括投資に比べると元本割れするリスクの軽減が期待できる
  • つみたて投資枠(旧つみたてNISA)で元本割れした場合は、あせって売却しない

目次

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つみたて投資枠(旧つみたてNISA)には元本割れのリスクもある

新NISAのつみたて投資枠を利用したつみたて投資には、元本割れのリスクがあります。

元本割れとは、投資した金額を下回ることです。つみたて投資に限らず、株式投資や債券投資などその他の投資にも元本割れのリスクがあります。

しかし、長期間積み立てを続けるなどの対策をすることで、元本割れを含むさまざまなマイナス要素の軽減が期待できます。

過度に心配をする必要はありませんが、投資には保有商品の価値が増える可能性も、減る可能性もあることを理解しておきましょう。

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)で元本割れする確率

資産や地域を分散させた積立投資を長期間続けることで、元本割れのリスクを軽減できる可能性があります。

金融庁が公表するデータによれば、分散・積立投資を5年間行った場合の元本割れの確率は10%程度です。一方で、同じ投資手法を20年間行った場合の元本割れの確率はゼロでした。

このデータは、あくまでも過去の実績をもとにした算出に過ぎず、運用期間や投資商品、投資金額などさまざまな条件によって異なります。20年間分散・積立投資を続けても、元本割れする可能性もあります。

投資方法や投資期間によっては、リスクを抑えられる可能性があることを知っておきましょう。

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の元本割れ対策

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)を、元本割れをなるべく防ぎながら利用したい人は、次のポイントを押さえておきましょう。

つみたて投資枠の元本割れ対策

つみたて投資の基本は「長期・積立・分散」です。元本割れのリスクを軽減したい人は、この3つの基本を重視することが大切です。

長期間積み立てを続ける

元本割れを防ぐためには、とにかく長期間積み立てを続けることを意識しましょう。子どもの大学進学に向けた教育資金や住宅購入費、老後資金など、将来を見据えて投資をすることが大切です。

長期的、かつ定期的に購入することで、安いときに買わなかったり、高いときにたくさん買ってしまったりといったことを防げます。

目標のタイミングまでに資産を増やすには、生活費やすぐに使うお金は使わず、無理のない金額で投資し続けることが大切です。途中で積み上げてきた資産を引き出したり、途中で辞めたりすることのないよう、少額でよいので、長く続けるようにしましょう。

投資する商品を分散する

異なる特徴がある商品を複数保有することで、元本割れなどのリスクを軽減できる可能性があります。

商品によって、投資対象の国や地域、構成する資産、運用方法など特徴が異なります。投資対象の商品を分散させたい場合は、次の3つの視点で考えるとよいでしょう。

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)で選べる商品は、長期・分散投資に適した一定の投資信託のため、1つの商品に投資するだけで、複数の銘柄に投資できます。なかには、国内株式、国内債券、国内リート、先進国株式、先進国債券、先進国リートなど、複数の資産を投資対象としている「バランス型」と呼ばれる投資信託もあります。

ただし、「本格的に資産形成をしていきたい」と思い始めたら、保有商品との兼ね合いを考えて、他の銘柄も追加購入したり、購入商品を変更したりするのも選択のひとつです。

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)で元本割れしたときの対処法

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)を利用して積立をしていくなかで元本割れしてしまった際の対処法は、次のとおりです。

あせって売却をしない

保有商品の基準価額が下がっても、まずはあせって売却しないことが大切です。

投資をしていると、元本割れすることもあります。ただし、今元本割れをしていたとしても、保有し続けることで基準価額が上がる可能性もあります。

基準価額が投資した金額よりも下回ったタイミングで売却しなければ損失は確定しません。

基準価額が投資した金額よりも下回ったタイミングで売却しなければ実質的に損することはありません。「あのとき売却しなければよかった」と後悔しないためにも、あせらず冷静に考えるとよいでしょう。

売却して現金化する

「今以上に価格が下がるのは避けたい」「どうしても資金が必要」といった場合は、売却する手段もあります。

いつまで値下がりが続くか、いつになれば値上がりするかは、誰にもわかりません。ライフステージの変化など状況に応じて売却して、必要な資金に充てるのも手段のひとつです。

監修者コメント

金子賢司(かねこけんじ)

新NISAは非課税投資期間が無期限なので、資金に余裕があるときにいつでも再開できます。初心者はまず投資で大ケガをしないことを心がけましょう。

旧NISAの非課税期間(20年間)が終わったときに元本割れしていたら?

旧制度のつみたてNISAの非課税保有期間は最大20年間です。20年後、資産が増えていればよいですが、元本割れする可能性もゼロではありません。

つみたてNISAの非課税期間終了後に考えられる選択肢としては、次の2つが考えられます。

  • 非課税期間終了後は課税口座で運用する
  • 非課税期間終了前に売却する

つみたてNISAは、非課税保有期間終了後、課税口座に移管(払い出し)され、移した時点の価額を基準として増えた利益に対して約20%の税金がかかります。

たとえば、投資した100万円が非課税期間終了時に150万円になっていた場合、課税口座での購入金額は150万円になります。その後180万円になった場合は、差額の30万円に対して約20%の税金がかかります。

ただし、投資した100万円が非課税期間終了時に80万円になり、課税口座で運用を続けて100万円に戻った場合にも、増えた20万円に対して税金がかかるため、注意が必要です。

非課税期間終了後に悩まないためにも、20年目まで放置せずに、様子を見て基準価額が高くなったタイミングで少しずつ売却していくといった手段もあります。適したタイミングで少しずつ売却するには、NISA口座を放置することなく、保有する資産の状況を定期的に確認することが大切です。

つみたて投資(旧つみたてNISA)には元本割れ以外のデメリットはある?

つみたて投資(旧つみたてNISA)は、資産を増やすメリットがたくさんありますが、元本割れする可能性などのデメリットもあります。

つみたて投資枠の元本割れ以外のデメリット

つみたて投資(旧つみたてNISA)を始める前に、デメリットやその対策もよく理解しておくことも大切です。

投資の対象が投資信託・ETF(上場投資信託)のみである

つみたて投資枠の投資対象は、金融庁の基準をクリアした一定の投資信託・ETFのみです。

ETFとは上場投資信託のことで、投資信託は銀行などの金融機関でも購入できますが、ETFは証券会社でしか扱っていません。

その他の商品で投資したい場合は、新NISAの「成長投資枠」を活用するとよいでしょう。新NISAの成長投資枠では、投資信託以外にも上場株式などにも投資できます。ただし、上場株式は証券会社でしか扱っていません。

短期間で大きな利益を得るのは難しい

つみたて投資は、長期間積み立てを続けて、少しずつ資産形成をしていくことを目的とした投資手法です。そのため、他の投資と比較すると、短期間で大きな利益を得るのは困難です。

一方で、大きな利益を得られる投資はハイリスク・ハイリターンと呼ばれています。大きいリターンを得られる可能性もあれば、大きく損をする可能性もある投資手法です。

つみたて投資は、短期間での大きなリターンは見込めませんが、短期間で大きく損する可能性が低いのはメリットともいえるでしょう。

損益通算ができない

損益通算とは、同じ年に発生した利益から損失を差し引くことです。NISA口座で得た損益(利益と損失)は、他の口座で得た損益と損益通算できません。

損益通算ができない

NISAは、そもそも税金がかからない制度であるため、NISA口座での運用で発生した損益は、はじめから「ない」ものとされます。

NISAで損失が発生してNISA以外の投資で利益を得た場合も、NISA以外で得た利益分すべてに課税されます。

また、本年分の損失を控除しきれなかった分を繰り越して、翌年以降の利益から控除する「繰越控除」もできません。あわせて注意しましょう。

つみたて投資(旧つみたてNISA)の不安はマネプラス窓口まで

マネプラスでも、NISA口座を開設し、つみたて投資枠や成長投資枠を使った投資を始められます。

マネプラスのスマートフォンアプリ「京銀アプリ」を利用すれば、マネプラスへ来店しなくても、口座開設から取引まで完結します。つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の換金も、京銀アプリで取引可能です。

なお、NISAに関する不明点はもちろん、投資や相続、家計相談などのお金に関する悩みは、無料で相談できる「土・日ご相談プラザ」「土曜ご相談プラザ」をご活用ください。

選べる2つの開設方法

つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の元本割れに関するよくある質問

Q.つみたて投資枠(旧つみたてNISA)は元本割れする可能性はありますか?

A.

あります。つみたて投資に限らず、投資には元本割れなどのリスクがあります。

ただ、つみたて投資の場合は、20年などと長い時間をかけて積み立てを続けていくことで、元本割れのリスクを軽減できる可能性があります。

Q.つみたて投資枠(旧つみたてNISA)で元本割れするとどうなりますか?

A.

資産の評価額が購入した金額よりも安くなった(元本割れした)タイミングで売却すると、損失になります。
ただ、元本割れしているタイミングで売却しなければ、損失が確定することはありません。売らずにそのまま保有し、評価額が上がったタイミングで売却すれば、利益となります。

Q.どういうときにつみたて投資枠(旧つみたてNISA)で元本割れしますか?

A.

現在の評価額と購入したあとに受け取った分配金の合計が、購入したときの投資額を下回った場合などに、元本割れする可能性があります。

投資信託の基準価額(投資信託の値段)が下がる要因として考えられるのは、次のとおりです。

  1. 投資信託に組み入れられている株式や債券の価値が下がった
  2. 分配金の支払いがあった

Q.保有するつみたて投資枠(旧つみたてNISA)で元本割れしました。どう対処するとよいですか?

A.

保有商品の基準価額が下がっても、あせって売却しないことが大切です。
売却せずに保有し続けていれば、今よりまたは購入時よりも価額が上がる可能性があります。

放置するのではなく、定期的に確認する癖をつけるとよいでしょう。

Q.つみたて投資(旧つみたてNISA)のデメリットを教えてください

A.

つみたて投資のデメリットは、次のとおりです。

  • 元本割れの可能性がある
  • 投資の対象が投資信託・ETF(上場投資信託)のみである
  • 短期間で大きな利益を得るのが難しい
  • 損益通算ができない

つみたて投資にもデメリットはありますが、他の投資商品と比較すると元本割れのリスクを抑えて投資できる可能性があります。また、新NISAは非課税期間が無期限になったことで、つみたてNISAよりも長期的に投資を続けられるため、リスクを抑えながらさらに資産を増やせる可能性があります。

監修者コメント

金子賢司(かねこけんじ)

つみたて投資枠で長期運用をしていれば、増える時期・減る時期どちらも経験するでしょう。長期運用のメリットは長期・積立・分散投資で「投資リスクを抑えられる」点にあるため、短期的な値動きで一喜一憂しない金額で始めることが大切です。